��. ページ1
=
目覚めもしないのに、朝はやってくる。
けれど、たまに朝より先に起きている。
今日だってそうだ。眠らなかったから。
私の母はハンターで、危険な植物の研究をしていた。父とはその後出会ったのだと聞いている。
私が住む白い箱のような、研究所のような…でも私にとっては自宅だけれど、ここにもそういう植物がのびのびと育ち、いろんな匂いで溢れていた。
父の得意分野は機械系だった。書斎の本や口で教えてくれたりしたおかげで沢山の知識を身につけたし、植物園の中でぐるぐると回るパイプや足元を這っている配線は、管理を楽にする為のものだ。
母も助かっていたそうだし、今だって私だけでも管理ができるほどだ。
この間頑張って練ったばかりの計画なら、管理者が居なくても水やりや肥料などの世話は必要無い。
私がここを離れても、植物達が元気を無くしてしまう事は無いだろう。
万が一誰かがここを襲ったとしても、そう簡単に枯れるような子達じゃないし、知り合いに予備の種も預けてある。きっと大丈夫。
『……、よし！』
大きなリュックに詰め込んだ荷物も確認して、準備万端。
鏡でバンダナとネクタイを整えて、……それからそうだ。
お母さんの白衣と、お父さんの作った便利レンズは持っていこうかな。
大きくて緩い白衣に袖を通して、頭に眼鏡をかける。リュックを背負ったら、装備は完璧。
『いざ！ハンター試験へ！！』
両親が死んでから、五年が経った。
ここは辺境の山だし、野生の獣が異質な植物に気を取られるのもわかるので、私はもう割り切っている。
A･ソーンズ、現在13歳。
これからハンターを目指す一人の少女である。
=
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢玄 | 作成日時：2019年4月13日 18時
