50話 ページ3
雨の日も、風の日も沢山稽古をした。
山に出て身体中がボロボロになるまで走り回ったり、夜中の街の屋根を走ったり飛んだりしたり、また悲鳴嶼様に稽古をつけてもらった。
俊敏さも戻ってきて、何とか……
庭に面した縁側で一休みをしていた。
貴方「ハァハァハァハァ……まだまだ……まだまだね……ハァハァ」
(煉獄「俺のために…努力をしてくれてありがとう。だが、無理をするな」)
ッ!?
どこからか杏寿郎様の声が聞こえ、とっさに立ち上がり、辺りを見渡した。
「ピヨピヨ」
「カァカァー!」
その場には私の他に雀とカラスが居るだけだった。
ドサッ
力が抜けたように縁側に腰かける。
特訓で少しボロボロになった練習服をぎゅっと握りしめる。
貴方「会いたいよ……頑張っても頑張っても自分の思うように強くなれないですよ……杏寿郎様……」
今気づいた。
必死に必死に特訓したとて、私はまだまだ力が足りない。それに杏寿郎様に会える訳でもない。
(煉獄「Aは目の前のことにばかり気が行ってしまっている。もっと何かあるだろう。Aは守備に必死すぎている。」)
貴方「たしかに……私は毎回他の隊員より容態は軽い……そういうことだったんですね……」
怖さを抑えて我が身を標的へ飛び込むことも大事……なのか。
(煉獄「だが、すまないな……俺のせいで苦しめてしまって……君や竈門少年は俺の光だ」)
その瞬間、太陽のような温かさに包まれた。
瞬時に分かった。杏寿郎様は今ここにいる。
貴方「杏寿郎様……私、頑張りますから……!頑張って、この戦いを全て終わらせる……だから待っててください!」
顔を上げると、杏寿郎様の笑顔が見えた気がした。
部屋に飾ってあった杏寿郎様の羽織が風で靡いた。
貴方「よし!!特訓特訓!!」
自分で作った等身大の的に切りかかる。
不死川「A…(ニコッ)」
冨岡「おい、不死川、そこで何してる。」
不死川「うぉっ!冨岡、てめぇ何でここにいる」
冨岡「今日は定食屋に行こうとな」
不死川「おい、ここ定食屋じゃねぇよ。姫屋敷だぞ。」
冨岡「Aと行くんだ。どけ。」
不死川「るっせぇ!通すか!!」
何だか背後がごちゃごちゃ争っていた。
貴方「あぁ!義勇!不死川様!」
冨岡「飯に行くぞ。」
不死川「(義勇……チッ)」
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作者名:うじっしー | 作成日時:2020年8月20日 21時