39話 ページ41
(まだ千寿郎side)
貴方「私の方こそ!!!私もずっと杏寿郎様を追いかけて、ずっと愛していました!!ヒック……」
槇寿郎「Aさん。杏寿郎の気持ちを受け取ってくれるんだね?」
貴方「もちろんですともっ!(涙)私…私っ……」
僕はいてもたってもいられず、Aさんの隣に行き、背中を摩った。
貴方「鬼も全て消えた世界で……杏寿郎様と……夫婦になりたかった……(涙)」
槇寿郎「っ……(涙)」
父上の涙とAさんのその一言で僕も涙が止まらなくて……
槇寿郎「杏寿郎の想いをこの羽織だと思って受け取って欲しい…」
貴方「……分かりました。受け取ります……ヒックヒック」
Aさんは自分の羽織を脱いで兄上の羽織を来た。
千寿郎「兄上も、きっと家に帰ってきて…Aさんの気持ちを聞けて喜んでると思います……本当に、ありがとうございます!」
【これほどまで愛し合う2人が共に生きれず、共に死すことも出来ない非常に無念な運命。】
貴方「葬式に出れていないので……お線香だけでも上げていいですか??」
Aさんは本当にお優しい方だ。
兄上がもしAさんと夫婦になっていれば…兄上は本当に幸せ……ううん、死してもなおこれ程想われて幸せであろう。
槇寿郎「勿論。千寿郎、仏壇へ案内してあげなさい。」
Aさんを仏壇へ通し、線香をあげると、僕達に礼をして訓練のため帰っていった。
この前初めて会った時の凛とした感じも残ってはいたが、今日のAさんは勇ましさが出ていた。
訓練等で出来たであろう体の傷や痣。
兄上が亡くなってから相当頑張っていたのだろう。
槇寿郎「それにしてもあの娘、身体中に傷だらけであった。」
父上の目にも付いていたようです。
千寿郎「以前あった時は傷なんて無かったのですが、やはり兄上の為に頑張ってらっしゃるのでしょう」
槇寿郎「Aさんはもう我が煉獄家であるようなもの。何かあれば助けてあげなければな。」
父上は微笑みながら僕の頭を撫でた。
千寿郎「はい!Aさんに出会え、愛された兄は幸せでしょう…」
槇寿郎「悲しいな…共に生きれず、共に死すことも出来なかった……離れ離れにされて……俺と違ってAさんは強い子だ……(涙)」
父上は涙をポロポロ流した。
千寿郎「父上……」
母上が死に、生きている自分と重ねたのだろう。
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作者名:うじっしー | 作成日時:2020年8月13日 2時