37話 ページ39
槇寿郎「そして、杏寿郎も俺と同じように最愛の女性をみつけ、誇り高く生きた。」
貴方「さ、最愛の女性…?」
千寿郎「兄上には秘密にするよう言われていたのですが、どうしてももう秘密には出来なくて……」
私の頭は混乱していた。
千寿郎「この前お2人で逢いに来てくれた時、兄上が言っておられました。『いつか、鬼狩りに終止符が打てたら……その時Aが了承してくれたら煉獄家に嫁に迎えたいと思っている』……と」
槇寿郎「こちらの勝手な話であるから受け流してくれてもいいn…」
貴方「そんなっ…そんなのっ!涙」
槇寿郎・千寿郎「「?」」
千寿郎「A…さん??」
私は大粒の涙を流した。
貴方「私の方こそ!!!私もずっと杏寿郎様を追いかけて、ずっと愛していました!!ヒック……」
膝の上にたくさん涙が零れ、シミができる。
槇寿郎「Aさん。杏寿郎の気持ちを受け取ってくれるんだね?」
貴方「もちろんですともっ!(涙)私…私っ……」
千寿郎くんが隣に来て、背中を摩ってくれる。
貴方「鬼も全て消えた世界で……杏寿郎様と……夫婦になりたかった……(涙)」
槇寿郎「っ……(涙)」
その言葉に、千寿郎君も槇寿郎さんも涙を流した。
無念。
ただ無念だった。
仇を撃つことに必死で、いつの間にか締まっていた想い。
槇寿郎「杏寿郎の想いをこの羽織だと思って受け取って欲しい…」
槇寿郎さんも涙ながら羽織を差し出してきた。
貴方「……分かりました。受け取ります……ヒックヒック」
千寿郎「兄上も、きっと家に帰ってきて…Aさんの気持ちを聞けて喜んでると思います……本当に、ありがとうございます!」
私は自分の羽織を脱ぎ、煉獄様…杏寿郎様の羽織を身にまとった。
貴方「葬式に出れていないので……お線香だけでも上げていいですか??」
槇寿郎「勿論。千寿郎、仏壇へ案内してあげなさい。」
千寿郎「はい。」
私は千寿郎くんに連れられて、2つならんだ仏壇前へ。
お母様と杏寿郎様。
まず、お母様に…
そして、杏寿郎様に。
(煉獄『ありがとう、A』)
貴方「!!」
そう聞こえた気がした。
千寿郎「どうかしました??」
貴方「いいえ、なんでもないですよ(ニコニコ)」
そして2人に見送られ、私は杏寿郎様の羽織を身につけて屋敷へ帰った。
30人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うじっしー | 作成日時:2020年8月13日 2時