好きだなんて 【宮侑】

8 苦手 ページ8

｢宮くん電車どっち方面？｣

｢あっち｣

｢あ、一緒｣





結局、定期券を拾ってくれた宮くんと

一緒にホームの方に移動した。





｢英語って宿題あった？｣

｢うん、あるよ｣

｢あかん、学校に忘れた｣

｢やるの？｣

｢いや？｣

｢ええ...｣





宿題なんてどうでもいい、と言うように

宮くんは大きく欠伸をした。





｢腹減った...｣

｢早いね｣

｢そりゃ、運動したからな｣

｢私のせいで走るハメになったしね？｣

｢それは...どうやろなぁ｣





ふふん、と笑って横目で私を見ている。

まあ、私が定期券を落としたせいで、

宮くんは余計に体力を消耗するハメになった。





｢(カバンに何か入ってたかな...)｣





ちゃんとしたお礼をしなきゃ気が済まない。

私は教科書でいっぱいのカバンの中を

ゴソゴソと漁った。





｢あ｣

｢ん？｣

｢これ、良かったら食べる？｣





それは、今日購買で買ったメロンパン。

お昼に食べようと思ったのだが、

もう一個買っていた焼きそばパンで

お腹が膨れてしまい、メロンパンは諦めたのだ。





｢ええの？｣

｢嫌いじゃなければ、どうぞ｣

｢まじか！ありがとうな！｣

｢(ん''ぬっ！！！！)｣





メロンパンを差し出すと、

腰を曲げて屈託のない笑顔で、

私の顔を覗き込んできた。

その眩しいほどの笑顔に、なんかこう、

言葉に出来ない衝動が走った。





｢ん〜、うまっ！｣

｢(これはなかなか...)｣





クセになりそうです。

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