45 苦手 ページ45
｢サム！お前置いてくな言うたやん、か｣
慌てた様子で走ってきたのは渦中の宮くんだった。
私の顔を見るなり、目を丸くして驚いた様子で私を見てくる。
｢俺先行くわ｣
｢は！？｣
｢角名たち先行ってしもた。はぐれたら大変やろ｣
｢いや、ちょ、サ｣
｢ごゆっくりどうぞ｣
｢話聞けや！｣
そう言うと人混みの中をスイスイかき分け
治くんは行ってしまった。
｢…｣
｢…｣
人が神社へ向かっているのに、
私と宮くんは向き合って立ち止まったまま。
この間のこともあり、謝ろうにも
緊張して喉が引っ付いている感じがして声が出ない。
｢...美樹ちゃんは？｣
｢…熱出たみたいで、来れないの｣
｢なんや可哀想に…｣
沈黙を破ったのは宮くんだった。
お互い目を合わせることもなく会話をして
今までで1番ぎこちないだろう。
｢……治くん達のとこ、行かなくていいの？｣
｢あ、ああせやな｣
｢うん…それじゃあ、ね｣
ああ、私の馬鹿。
こんなこと言う前に、もっと言うことあるはずなのに。
そう思っている間にも、宮くんの顔を見ることが出来なくて
そのまま帰ろうとした時だった。
｢待った｣
｢？どうしたの？｣
｢...俺と、花火見る？｣
｢えっ｣
いつもは余裕たっぷりの宮くんが、
緊張でもしているのか声が少し裏返ってて。
唇をきゅっと結ぶ彼からの誘いに、どこか嬉しいと思わずに居られない自分が居た。
｢でも、友達と約束してるんじゃ...｣
｢あいつらとは来年でもその次でも見ればええ。それに...｣
｢...？｣
｢せっかく浴衣着たのに勿体ないやん、か｣
そう言ってくれた宮くんの顔は赤くて
声が段々小さくなっていった。
にも関わらず、真っ直ぐとこっちを見つめてくるから
私は思わず俯いてしまった。
｢あかんか、やっぱ｣
｢う、ううん！あの、見られすぎてちょっと...恥ずかしいというか｣
｢見ない方がええ？｣
｢それも悲しいというかっ、だっ、だからそのっ｣
最早居なくなってしまいたいぐらい
吃りまくってる私が精一杯この場で言うべきことは
｢はっ、はなびっ、一緒にみたいっ...です｣
美樹が居ないから誘ってくれたの？とか、
私が一人ぼっちなの可哀想だから誘ったの？とか。
そんな野暮なことを考える暇もなく、
私は宮くんからの誘いに喜びたい一心だった。
続く (更新停止中)
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黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます！ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない？？？と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります！長々とすみません！ (2022年8月2日 18時) (
レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません！！！！！！！！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです！めっちゃいいとこ(？)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます！わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです！頑張って更新しますので！頑張ります！！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黎子 | 作成日時：2018年9月30日 0時
