41 苦手 ページ41
｢！あ、侑、この子な伊藤のこと好きなんやって！｣
｢な、何言って...！？｣
｢それやのに侑にちょっかいかけて...！
腹立つやろ！侑遊ばれてたんやって！｣
小山さんは事実じゃないことを述べて
笑いながら必死で宮くんに話しかける。
当の宮くんは私の目の前にしゃがんで、
乱暴に掴まれていたボサボサの私の髪を
無表情のままゆっくりと手で治している。
｢...だから？｣
｢だ、だからって...｣
｢言うたんか？この子が｣
｢え...？あ、あつ...む｣
立ち上がった宮くんは振り返り、
小山さんにジリジリと近づいていく。
いつもと違う宮くんに怯えている小山さんは
壁に追い詰められている。
｢こんなこともう辞めろや｣
｢...わ、私は侑のために...！｣
｢いつまで俺の彼女面しとんねん｣
｢あ...っあつ｣
｢キショいねん、ほんま｣
ドォンと壁を足で蹴った宮くんに
小山さんや私たちは動けないでいた。
｢二度と話しかけんな...クソブス...っ！！｣
怒気を含んだ声に、小山さんは涙を浮かべて
私を睨んだ後走って教室を出ていき、
他の子もそれを追いかけていった。
入口の方を見ると、見張り役を任されていた
大人しそうな女の子が私を涙目で見つめていた。
｢(もしかして、あの子が宮くんを...？)｣
なにか言おうとしていたけれど、
その子も直ぐにその場を立ち去った。
｢平気か｣
｢う、うん｣
｢どっか、殴られた？｣
｢い、いいや、大丈夫｣
しゃがみこんで気遣わしげに見てくる宮くんには
先程の面影はなかった。
でも、ここで蹴られたと言ったら
さっきのようになってしまうのではないかと思い
黙っておくことにした。
｢あ、ここちょっと赤くなって__｣
｢っ！｣
パシン。
スルッと宮くんの指先が右の頬に触れた時
その手を私は拒絶してしまった。
｢...｣
｢...ぁ、ご、ごめん...びっくり、しちゃっ...て｣
びっくりした？
違うでしょ。
さっきの彼を思い出して、怖がってるだけでしょ？
｢...ごめんね...ごめんなさい...｣
｢.....助けてくれて...ありがとう｣
直ぐにその場から立ち上がり、
私は走って廊下に出た。
｢(最低...私、最低だ...)｣
手を振り払った時、彼の顔を見た。
子どもみたいに、泣きそうな顔を見た。
私は自分の子の手を切り落としたくなるほど後悔した。
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黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます！ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない？？？と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります！長々とすみません！ (2022年8月2日 18時) (
レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません！！！！！！！！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです！めっちゃいいとこ(？)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます！わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです！頑張って更新しますので！頑張ります！！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黎子 | 作成日時：2018年9月30日 0時
