好きだなんて 【宮侑】

11 苦手 ページ11

｢(んー、やっぱりあの方式の使い方難しいな)｣






数学の時間が終わってから、

私は数学のノートを眺めていた。

やっぱり、難しいよね、これ。






｢ほれ｣

｢ひぃっ！？｣






考えごとをしていると、

右の頬にいきなり冷たい何かが当てられた。

驚いて後ろの方を見ると、

ケラケラと笑っている宮くんが立っていた。






｢み、宮くん！｣

｢ふっふ、脅かしがいがあるなぁ自分｣

｢もう、びっくりした！｣






本当にびっくりした。

びっくりしすぎて、心臓がバクバク言っている。






｢Aちゃん、いちご牛乳好き？｣

｢う、うん、好き｣






ベタなようであれだが、

私の一番好きな飲み物はいちご牛乳だったりする。

なんでそんなことを聞くのか

不思議に思っていると、宮くんは

苺と牛乳が描かれているパッケージが描かれている

パックを目の前に出てきた。






｢あげる｣

｢え！いいの？｣

｢さっきのノートのお礼｣

｢！ありがとう｣






受け取ると、思わず嬉しさで笑みが溢れてしまう。

いいんですよ、小さな幸せでも。

私にはいちご牛乳さえあればいいんです。






｢ちなみにさっきの折り鶴は驚かしたお詫び｣

｢それはいらない｣

｢そんなこと言わんといて｣


・

・

・

今日の数学の授業中から、

私はあることに注目することにしてみた。






｢(あ、また寝てる)｣






宮くんが授業中起きている確率は、かなり少ない。

こんなに寝ていて成績の方は大丈夫なのだろうか？

しかし、実際のところ宮くんの成績は悪くはないらしい。

天才肌なのかな？それとも実は努力型？






｢...宮くん｣

｢...｣

｢起きないと成績下がっちゃうよ...！｣

｢......ふっ｣

｢(確実に笑ったな)｣






小声で寝ている宮くんを起こしたが、

微かに笑ったような声が聞こえた。

まさか、わざと寝たフリしてる？






｢成績下がったらどうなるん？｣

｢あ、起きた｣

｢起きてた｣

｢やっぱり｣






すると、宮くんはムクリと起き上がり、

机に頬杖をついて私の方に向いた。






｢テスト、近いでしょ？｣

｢あー、そうやっけ？｣

｢赤点採ったら部活出れなくなるよ｣

｢え｣

｢だから、その為にも起きてた方が｣






なんで私が宮くんにこんな話をしているんだ。

え、本当になんでだっけ？






｢あ、そうか｣

｢？｣

｢なら、Aちゃんが俺に放課後勉強教えてや｣

｢.......え？｣






急展開です。

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