13 苦手 ページ13
月日は流れて、テスト期間1日目。
とうとうこの日が来てしまった。
「よ、よろしくお願いします」
「よろしく〜」
この日は異様に時間が流れるのが早くて、
気付けば放課後になってしまっていた。
テスト期間ということもあり、
クラスメイトは帰ってしまって
教室には私と宮くんしかいない。
「それじゃあ、何の教科やる?」
「英語」
「分かった」
机を向かい合わせにして席につき、緊張しながらも
カバンの中にある英語の教科書を探す。
「あら、ほんまに勉強やるん」
「やらないの?」
「俺はAちゃんと仲良くなりたいから誘ったんやけど」
「なか、よく?」
ようやく見つかった教科書を机に置くと、
何やら危ない雰囲気。
この言いようのない雰囲気になると、
ペースはすべて宮くんが掴んでしまう。
「勉強しないの?」
「まあ、そのうち」
「なにそれ」
ここまで来ると呆れてしまう。
なんなの宮くんて。
「私、帰る」
勉強会だなんて言う話を信じた私が馬鹿だった。
これは確実に、宮くんは私を馬鹿にしている。
机の上に広げていた勉強道具を
片付けようと手を伸ばすと、
パシッと大きな手が重なった。
「電車、あるん?」
「歩いて帰る」
「無理あるなそれ」
私の手を取っている宮くんの顔は、
委員会で残っていた時と同じように、
艶やかでちょっと危険な笑顔を浮かべていた。
「な、なんなの」
「...」
「私を馬鹿にしてるんでしょ」
「...」
「やめてよ、こういうの」
相手が宮くんであるのにも関わらず、
ドキドキと脈打つ心臓を余所に、
そんなことを口走っていた。
でも、宮くんはやっぱり笑ってるだけで、
余裕の表情をしていた。
「ほんまに仲良くなりたいだけって言うたら?」
「嘘だと思う」
「ほんまやって」
ああ、そうか。
宮くんはこうやって人気者になったのか。
「ほんまやって」
「...」
「な?」
「...分かった」
「お」
「分かったから一旦手離そうか」
「えー」
「宮くん?」
「へーい」
こうして、宮くんが計画(?)していた
「仲良くなるための勉強会」とやらが始まった。
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黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます!ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない???と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります!長々とすみません! (2022年8月2日 18時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます!続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません!!!!!!!! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです!めっちゃいいとこ(?)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……!更新頑張ってください!楽しみにしています! (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます!わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです!頑張って更新しますので!頑張ります!!!! (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黎子 | 作成日時:2018年9月30日 0時