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45 私とあいつ ページ46

「せや!グラウンド行こ!」

「今から?」

「フォークダンスやるんやって!ほら!」





抱きかかえられていた状態から解放される。

手はそのまま繋いでいて、私は引きづられるように

教室を抜け出した。






「ちょ、速い!」







さすが運動部、足が速い。

足がもつれそうになる。






「乗っかって!」






侑が止まり、私に背を向けてしゃがむ。

もしかして、おんぶをしようとしているのか。






「いや、私重いし...」

「はよせえ!遅れたら先生に怒られるで!」






確かに怒られるのは嫌だ。

仕方のない気持ちでおそるおそる乗ると、

乗ったことを確認した侑はバッと走り出した。






「うわ速!」






風が勢いよく吹きつけて来た。

これもまたアトラクションのようで怖かった。

玄関に到着し、おろしてもらおうとするが

そのままずっと走っている侑。

外に出てしまった。






「上靴のまんまやん!」

「拭けばええって!」






なんて適当な。

しかし、グラウンドに着くまでおんぶというのも

精神的につらいものがある。






「もう着くからおろして!」

「え〜」

「''え〜''やなくてやな」






渋りながらもおろして貰うと、やっと気持ちが落ち着いた。

こういうことが久しぶり(というか、ほぼなかった)私は

緊張していたのだ。






「なら、手だけ」

「...」

「あかん?」






手だけでもと言う彼は、私の様子を伺っている。

彼はこんなにも積極的だったのか。






「俺の''練習''の成果、見て」

「...!」






いつの日だったか。

私たちが友だちになって一緒に帰り始めた頃、

''練習''と称して手を繋いで帰ったのを思い出す。






「...もう」

「ふっふ」






そう言われたら断れんやん。

そっと手を出すと手を握られ皆のいる

キャンプファイヤーのほうに向かう。






「あ!Aー!...ん?」

「ああ、ゆっちゃん」

「え、何。もしかして...え!?」






こっちに気付いたゆっちゃんのほうに行くと

私たちの手と顔を交互に見る。






「言われたん!?」

「ふふ、うん」

「わー!おめでとー!」





ガバッと後ろにのけ反るぐらいに抱きしめられた。





「良かったねえA!」

「ありがとうゆっちゃん」





私のことのように喜んでくれているゆっちゃんは、

目に涙を浮かべている。





「え、泣いとるん」

「だ、だっでえええ」

「泣いたら劣化するで由香」

「うっさいわボケナス!」

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黎子(プロフ) - 紅麗亜さん» ありがとうございます!感謝で涙が溢れます!これからもよろしくお願いします! (2018年2月25日 17時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
紅麗亜 - いつも、楽しく見ています。更新頑張ってください!応援しております。 (2018年2月25日 17時) (レス) id: 219f3dfeac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黎子 | 作成日時:2018年2月12日 14時

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