鼓動 ページ19
目の前まで来ると、
私に着ていた学ランを丁寧にかけ、
竜は女の子たちに向き直った。
「こいつにこんなことしたの誰？」
低いその声音の奥には底知れない怒りが渦巻いている。
普段の優しい竜からは想像もつかないような、
初めて見るその姿に私も一瞬怯んだ。
女の子たちは震えながら首を振るばかりで口が聞けない。
そんな様子を見ると竜はチッと舌打ちをした。
「こいつ傷つけたら俺、女でも許さねえからな」
今度はコクコクと首を縦に振るしか出来なくなっていた。
・
張り詰めていた空気を破るかのように
はぁ、と息を吐くと
竜は再び私に向き直り、
しゃがんで目線を合わせた。
頬に触れると、水を拭うようにゆっくりと指で撫でる。
ぽたぽたと垂れる雫が竜の服の袖を濡らした。
私は自分が情けなくて、悔しくて俯いて唇を噛んだ。
涙だけは流さないよう、必死にこらえる。
そんな私を見ると竜は優しく頭を撫でた。
「とりあえず拭いて着替えねえとな。保健室まで歩けるか？」
竜は立ち上がると手を差し出してきた。
せめて自分の足で歩いていこうと、こくんと頷き、
手を取ると痛みをこらえてぐっと足に力を込めて立ち上がる。
大丈夫、歩ける と、1歩踏み出そうとした時、
ぐっと腕が引かれ、体がふわっと浮いた。
気づいた時には竜に抱えあげられていた。
「わりぃ、お前はできねえって言わねえやつだったよな」
竜は困ったように笑うと、そのまま校舎の方に向かって歩き始めた。
『え、ちょ、歩ける！自分で歩けるから！下ろして、重いでしょ？！』
「うるせえ、男の腕力舐めんな。全然よゆーだわ」
『私びしょ濡れだから竜も濡れる！』
「今あちぃからウェルカムだし」
でも…！と、じたばた抵抗したがどうやっても下してくれる気はないらしく、諦めて素直に体重を預けた。
竜は満足したように笑うとそのまま歩を早めて保健室に向かった。
トクトクと鼓動の伝わる距離が落ち着かなくて、
でもずっとこのままでいたいような不思議な感覚だった。
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美愛(プロフ) - �貂�さん» もし海司のセリフが既出だったら私の記憶違いなのでサラッと流しておいてくださいm(_ _)m応援ありがとうございます、更新頑張りますね (2020年1月10日 8時) (
レス) id: 5468b9022d (このIDを非表示/違反報告)
美愛(プロフ) - �貂�さん» コメントありがとうございます。ご指摘感謝致します、直させて頂きました。海司のセリフで海のあとに(日浦海司)とつけたのはここが多分海司のセリフとして使った「」が初めてだと思われるのでそうしました。他のキャラもそんな感じです。 (2020年1月10日 8時) (レス) id: 5468b9022d (このIDを非表示/違反報告)
�貂� - 物語一気に読んじゃいました。 今読んだばかりなのにもう続きが気になります。 更新待ってますね。 沢山の直しを言ってしまいすみませんでした(>_<) (2020年1月10日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
�貂� - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 見つけたのここの部分 龍の胸元を握りしめ、竜を見上げる。 途切れ途切れになったが何とか声が出た。 これ正しくは竜の胸元を握りしめ、ではないんでしょうか？ (2020年1月10日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
�貂� - これらずが抜けてませんか？ 正しくはもうどうしていいのか分からずではないんでしょうか？ (2020年1月10日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美愛 | 作成日時：2019年12月18日 11時
