黒薔薇の花束を貴方に【文スト】【芥川龍之介】【ヤンデレ】

17輪 ページ21

『っ…んぐ…ぅ』
白い光が見えて目が覚めた。

体が痛い。

額に接吻された後、貧血で気絶したんだな…貧血というか、出血多量で。

一応芥川さんがいないか確認するために、周りを見渡す。

すると

そこは…自分の部屋だった。

『あっぇ…？』

正真正銘、自分の部屋だ。

嬉しさからか、霧がかっていた脳がゆっくりと覚める。

『えっ！やっ…え？！』

え？まじ？これ夢？…多分…夢だな…うん。
一応夢じゃないかどうか確認するため、血まみれのはずの体を見る。

『う…そ…』

体から滴り落ちていた血液は、…消えていた。

やっぱり、夢か。

なんだろう。これ。

夢にしてはリアルで。なんとも生暖かい…。

そう思っていた時、コンコンっと小刻みに扉が叩かれた。


「A…入るね…？」

それは、私が1番会いたかった人の声だった。本当ならいつも、毎日聞いていた声。

その人と目が合う…と思う前に、抱きしめられていた。

「ッ！Aよかった…目が覚めたのね…本当にどれだけ心配したことか！」

抱きしめられた瞬間その人の…お母さんの柔らかくて暖かい体を感じ涙が頬を伝う。

『おかあっさんっ…お母さん…っっぅえ…！』

「よかった…本当に…！」
夢なら醒めないで欲しい。
抱き締めている手に力が入る。

「Aの行方不明届けを配ってたら…病院にあなたらしい人がいるって警察から電話があってね…」

そんな話を泣きながら聞いていた。

「怪我無かったらしいし、気絶してるだけだろうからって、点滴だけして、帰ってきたの。」

にしても、変な点が多すぎる。怪我が無い？

あの時もそうだったけど、

そんなわけないじゃん？だってあの時、血まみれになったのに？

でも最初に思うのは

どうして？これが夢じゃないのなら

どうして彼は、私を


逃がしたの？

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