頼るべき人 ページ32
ASIDE
慎太郎が仕事に出るついでに
事務所で下ろしてもらった私。
午後から慎太郎とお仕事に向かうから
今日は朝イチで事務所に来ていた。
【おはよう！】
『おはようございます！』
【社長は自らスカウトに行ってて今は不在なんだ！】
『こんな朝早くからですか？』
【あぁ！朝イチはいい感じに狙えるらしい！】
『そうなんですね！』
【話なんだけど！代理で副社長が聞くから！】
『分かりました！』
普段あんまり見ない副社長が今日に限っているらしい。
どうしたらいいんだろ。
『失礼します！』
【どうぞ！】
『お久しぶりです！』
【おう！】
シラフの状態から怒ってますみたいな表情の副社長。
怖い以外の状況はない。
【話って？】
慎太郎が不在の間に起きた出来事を事務所に報告をした
1から10まで話して第一声に言われたこと。
･････････
旦那とはいえ他事務所の人間に助けを求めてどうする！
向こうサイドに被害が及んだらどう解決する！
大手事務所所属の芸能人に助けを求めるな！
･････････
あの一件に関わった人たちの名前を知り
“開いた口が塞がらない”状態。
『ごめんなさい』
【“ごめんなさい”じゃないだろ！】
慎太郎から事務所内に状況を知ってる人を
作っておいてって言われていた
妊娠のこともまだ言えていないまま
そんな言葉を突きつけられる
【まったく･･･どう謝罪しようか】
あー。そうなんだよね
私が助けを求めた人は旦那だけど
別の事務所の人気あるアイドルなんだ
本人が来なかったとはいえ助けに来てくれた方々も
事務所を代表する素晴らしい人たち
私が軽率だった
【ましてや･･･今撮影中なのは本人役！】
『はい！』
【相手も旦那よな？】
『そうです！』
【厄介だなぁ】
私が責められるだけ
あの俳優さんの話は3分にも満たない。
挙句の果てに
【あの事務所にはよくしてもらっている】
『はい！』
【今回の件はお金で解決しよう！】
『えっ？』
【若手女優を襲って人気下落なんてもったいない】
だって
この瞬間思った。
この人は副社長に向いてないんじゃないかって。
この人は被害者より加害者を守るような人なんだって
思っちゃったんだよね。
【何より芸能人の妻としての自覚はないのか！】
“芸能人の妻としての自覚”･･･なかったかな
優しい慎太郎に甘えるだけだった
【副社長！そこまで言わなくても！】
【マネージャーもマネージャーだ！役立たずか！】
私のせいでそこまで言われてしまった
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作者名：瑚心 | 作成日時：2021年9月3日 14時
