彼の頑張り ページ20
北斗SIDE
最近。慎太郎がムリしてるのはみんなわかってた。
俺らに心配かけないようにするために振る舞ってた。
“大丈夫？”って聞けば
“俺は全然大丈夫だよ？何？大丈夫じゃなさそう？”
って笑う。
今日だってふとした時には落ち込んでいた。
でも誰か1人の声でも耳に入れば
明るく元気に振る舞おうとする。
【今日も落ちこんでるな！】
【まぁ状況が状況だしな！】
【事故からもう2週間だよな】
【うん】
『キツいな』
事故当時のまま何の回復も見せないAちゃん。
慎太郎は毎日Aちゃんのとこに行って帰ってくる
慎太郎は2人で住んでるあの部屋に帰らなくなった。
広さと静けさを感じるのが怖いって。
【大丈夫かな！心配されるのイヤらしいけど】
【気づいてて気付かないふりしないといけないのか】
【慎太郎がそうして欲しいならそうするしかない！】
【でもいつか壊れないか】
『･････････』
事故の引き金になったのは
事故2日前に免許取り立ての18歳の少年
時速80キロを保ったままカーブに差し掛かり
曲がりきれずに反対車線に飛び出して
Aちゃんの運転する車に衝突。
あの場所は急カーブで死亡事故多発地域。
あの勢いを保って曲がってきた車がぶつかって
運転手のAちゃんが即死じゃなかったのも
助手席の岸本さんが軽傷で済んだのもキセキらしい。
【慎太郎！】
【おう！おつかれーい！】
呼べば何事もないかのように俺らに笑顔を向ける。
【何してんの？】
【千羽鶴！糸に通してんの！】
【千羽以上だし！】
【ありがたいことに毎日来るからさ！】
【俺らも手伝うよ！】
『糸貸して！』
【ありがと！病室カラフルでさ！目がチカチカする】
“でも俺以外のたくさんの人もAの事思ってんな”
ってとても嬉しそうに笑った。
【みんなの願い･･･Aに届くといいな】
弱みを見せないなら
弱みを知らないふりするから
壊れる前に俺ら5人を頼って欲しい。
心配かけたくないのは分かるけど心配になるし
頼ることは恥ずかしいことじゃないだろ。
こんな時のために俺ら5人がいる事をわかって欲しい
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作者名：瑚心 | 作成日時：2021年7月7日 3時
