罰 ページ10
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あれから、2週間が経って。
侑とAは仲良しに戻って
俺たちは元通りになった。
どちらとも普通に喋るし、
Aはあの日の事なんか気にしてないように見えた。
そりゃそうか。
俺、別に気持ちを伝えた訳じゃないモンね、
“慰めた”だけ。
それでも俺の中で
区切りは付けれなくて、
曖昧で不確かな距離は
ぼやけたままだ。
.
.
.
「ただいま」
とある日の部活終わり、
いつものように家に帰る。
返事が来ないことで
ああ、そういえば出張で週末まで帰らないって言ってたな
なんてぼんやりと思いながらリビングへ足を運ぶ。
作り置きしてある夕食を食べ、
風呂に入り、歯を磨こうとした時。
「マジかよ」
今出した分で、歯磨き粉が無くなったのに気付いた。
…買いに行くか、面倒だけど。
.
.
.
「さっむ…」
夏とは言えど、もう終わりがけ。
さすがに夜は冷え込むようで
持ってきた上着を羽織りつつ身震いをする。
そしてコンビニに辿り着く途中で
街頭のない歩道の隅に蹲る女の人を見つけた。
こんな時間に、そんな薄着で何してんだろ。
不審に思いながらも好奇心から近付いてしまう。
スマホを触るふりをして
画面の明かりでその姿を照らせば
そこには見覚えのある茶色の髪に
影を落とす長い睫毛。
「…A?」
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作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時