罪 ページ27
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ああ、なるほどね。
見られちゃったってことか。
仕方ないよね、送った俺が悪いな。
なんて、ジンジンする頬を擦りながら考える。
「おい…なんとか言えや」
侑の声が耳に木霊する。
怒りで声が震えている、
空気がビリビリしているのが分かる。
____まあ、何言ったって
俺が悪いのに変わりはないしな。
「っ、おい!! なんとか言えやって!!」
大声を出した侑が拳を大きく振りかぶる。
歯が、折れなきゃいいんだけど。
なんて考えていると
『侑…、お願いやめて…っ!!』
茶色の髪の毛が視界いっぱいに広がり、
Aが俺の前に立ちはだかった。
細い手首を引っ張り、
「なんっやねんその態度」
歯が折れるんじゃないかと本気で思うほどの
衝撃に安堵するのは、後にも先にも今回だけだろう。
間一髪のところでAを守ることが出来た。
小さくて細い身体を俺の後ろに隠す。
握った手首から伝わってくる振動に苦しくなる。
好きなだけ俺を殴っていいから、
もうAを怖がらせるのはやめてくれ。
見てられない。
「俺が全部悪い。
ごめんなんて調子のいいこと言うつもりないから、
気が済むまで殴ってよ。」
“向こう行ってな”と視線でAに訴え、
校舎の中に入るAを見送ってから
侑の前まで足を進める。
「言い訳のひとつくらいしてみろや」
「…しないよ。やり取り見たなら分かると思うけど、
ほんと、俺が一方的に送っただけだから。
あいつを責めないで。」
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作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時