罪 ページ25
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「角名…おまえ調子わるいんか?」
放課後、キュッキュと
バレーシューズの擦れる音が木霊する中
侑が俺に声をかけた。
「あ…いや、そんなことないんだケド、」
「けどなんやねんっ!!
もうさっきからずっとボケっとしとるやんけ!!」
「そうだっけ? ゴメン」
適当にあしらう俺に
謝って済めば警察はいらへんわ!!と侑が吠える。
別に体調が悪い訳では無いけど、
そういう訳ではないんだけど。
____どうも息苦しい。
じわじわと首を絞められ、
爪が皮膚にくい込んでいくような感覚。
もうすぐ、春高もあるってのに。
部活に集中出来ないなんて重症だ。
ちょっと前までは、ちゃんと
ちゃんと友達としてAと侑を応援出来たのに。
なんで、今更。
・
・
・
「はー…ただいま」
家に着いた途端どっと疲れて
玄関に座り込む。
「あら、おかえり〜
そんなに疲れてどうしたの〜?
ご飯できてるからね〜」
ドアからチラッと顔を出した母さんが
俺を見て心配そうな顔をする。
「…うん、後で食べるよ」
そんな母さんのいるリビングには顔を出さずに
自分の部屋へと向かった。
スマホでLINEを開いて
Aとのトーク画面を見る。
形に残すのはどう考えても良くないと分かるのに
どうしても形に残したくて。
あの日を後悔してないか、ちゃんと本音が知りたくて。
言えない気持ちを抱えるのが苦しくて。
キーボードをタップしてメッセージを送ったけど
既読がついただけで、
Aからの返信が来ることは無かった。
りんたろうねえ、
りんたろうすきだよ
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作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時