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『ん…っ、あ』



敏感な場所に触れる度、

手の甲で隠された口から嬌声が零れる。



「なんで、声、我慢すんの」



涙目で俺を見つめるAが可愛くて、

つい意地悪したくなってしまう。


触れ合う肌と肌の温度が心地いい。

人って、こんなにも温かかったのか。


口を隠す腕を掴み、

痛々しく腫れる痣に口付けを落とす。




『ごめ、んね…汚い身体で、』


「綺麗だよ、大丈夫」




丁寧にひとつずつ口付けをし終わると

はずかしい、とAは顔を手で覆った。


その仕草でさえ、愛おしくて仕方ない。


今、今この瞬間だけは

俺だけの、俺だけのものでいて欲しい。


歪んだ独占欲だとは理解している、

それでも止められない。


侑が付けたであろうキスマークの上に

上書きするように優しく歯を立てる。




『す、な…っ、ん、』




物欲しそうにこちらを見るAと目が合い、

噛み付くようにキスをしながら

身体を重ねて。


俺を焼き付けるように腰を揺らすと

その度にAは甘い声を洩らした。



『あ、…っ、あつ、む、』



不意に、熱っぽい息と共に吐き出された

その名前に身体が硬直する。


Aに目をやるけど、

俺のことを侑と呼んだことに

気づいてないみたいだ。


それとも本当に侑だと思っているのだろうか。


どっちにしろ、今だけは

俺を見てくれると思った、のに。



「俺、侑じゃないよ、A」



何度も何度も望んだ交わる夜は

とても幸せで、とても虚しかった。




△▼

罪→←罪



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設定タグ:ハイキュー , 稲荷崎 , 角名倫太郎   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時

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