罪 ページ21
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『角名、抱いてほしい』
互いに隙間を埋めるように
抱擁し合う中、唐突に告げられる。
驚いて顔を上げると、
『ってゆーたら、…軽蔑、する?』
「なんで、泣くの」
零れ落ちた数滴の水は
キラキラと俺の視界に飛び込んで、伝染する。
『生きてる意味わからんねん…っ、
も、何に縋って生きてけばええか分からん…っ
おねがい、私のこと必要としてほし……、』
感情を鮮やかに映す雫に、
引きずり込まれる。
「…A」
倒れ込んだ見慣れたベッド。
2回目だけど、はじめてだ。
前と今とでは訳が違う。
どうしてこうも
世界は理不尽なんだろう。
そんな抽象的なことを考えながら
Aに覆い被さる。
分かっていた、
こうすることが間違ってる事なんか。
それでも、こうせずにはいられない。
俺には“正しい”愛し方が、分からない。
間違ってることは分かっても、
その方法は知らない。
だけど、全てを失う覚悟を持てるくらいには
Aを愛してるらしい。
侑、ごめん。
痛いと叫ぶ心臓を無視して
Aに俺の唇を重ねた。
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作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時