検索窓
今日:9 hit、昨日:5 hit、合計:8,459 hit

ページ20

△▼




『いつも、ごめんなあ…』



傷口を処置していると、

ぽつり、Aが呟いた。



「悪いのはAじゃないだろ」



痛々しい痣に指を這わせる。


あの後、Aをおぶって

俺の家まで連れて帰ってきた。


それから夕食を作って

2人で食べて、風呂に入り、今に至る。



『私、何があかんかったんかな…』



一通り手当てが終わると、

Aが俺の胸元に顔を埋めてそう言った。


侑が無闇に暴力を振るったりする奴じゃない、

そんなことは俺がよく分かってる。


だけど目の前にある痛々しい痣が

血の滲んだ傷口が、事実だと物語っていて。



____俺は、つくづく最低だと思う。



理性と衝動が混濁した脳内で

他人事のように思った。


触れたら壊れてしまいそうな

弱々しい背中に腕を回す。


見つけろ、探せ、間違えるな。

侑は完全に俺の気持ちに勘づいてる。



「俺なら、そんな思いさせない」



頭の中では分かっていても

口を割って出たのは酷く浅はかな言葉。


違う、そうじゃない、違う、

「何かあったら助けるから話し合ってみな」

そう言うんだ、分かっている、


掛けるべき言葉も 正しい慰め方も

分かる、分かってるのに、



『なんで角名がそんな顔すんねん』



桜が散った後のような

綺麗でどこか寂寥感を掻き立てるそんな笑顔で

Aは俺を抱き締めた。




△▼

罪→←罪



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 4.7/10 (83 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 稲荷崎 , 角名倫太郎   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。