罪 ページ11
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『角名…なんで、』
そこで蹲っていたのはAだった。
あの日と同じ、泣き腫らした顔で
不思議そうに俺を見る。
「コンビニに用があったんだけど…
お前こそどうしたの、」
一向に立ち上がる気配を見せないAは
『えへへ…ちょっとね』
作り笑いを浮かべる。
本人はしっかり笑えてるつもりなんだろうか。
そんな力無く笑われて、
眉根が下がってるのに気付かないワケがない。
「…とにかく家帰りなよ。
こんな時間だし、危ない。
送ってったげるからさ」
少し屈んで手を差し出すが
Aは動こうとしない。
「…ちょっと、危ないからほんと」
『やだ…家、帰りたない…』
腕を掴んで立ち上がらせようとすれば、
か細い声で呟く。
家に帰りたくないって何…
そう言おうと思ったが
掴んだ腕に無数に残った痛々しい痣が
目に飛び込んできてやめた。
「…お父さん?」
コクリと頷くAを見て
どうするべきかと頭を悩ませる。
「コレ着てなよ、寒いから」
自分の着ていた上着を
Aの肩に掛けて
スマホから連絡先を探す。
「今侑呼んであげるから
もうちょい待ってなね、」
画面に表示された“宮 侑”の文字。
発信ボタンを押そうとすれば
『だめ!! …侑はあかん…』
急に腕を掴まれて阻まれる。
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作者名:ぽよたろう | 作成日時:2022年6月4日 17時