【本当に凄い水も滴る天王】1 ページ32
「ぶえっくしょおおいい！！！」
「………」
「あー！寒い！！」
海列車の屋根の上で仁王立ちしながら勢いよくクシャミをかました天王。
ずずっと鼻をすすりながら体をブルブル震わせている様子から見るに、本人の口から出た通り本当に寒そうである。
それもそうだろう。現在嵐の中、いつものコートはウォーターセブンに忘れてしまったので羽織っておらず、防寒具がいつもより少ない状態での雨風に打たれているのだ。
「もう少し女らしくしたらどうだ？」
「何言ってるんだい？私は“男”だよ」
風で飛んでいってしまうだろうと、帽子は室内に置いてきた。そのためいつもは隠れている長い髪の毛が顕になってしまっている。
現在の容姿から男だと思えと言われても、本性を知っているルッチからは難しい問題だろう。
上も下も白い服は、雨で濡れて下が透けて見えるのだ。
「…羽織ってろ」
ルッチは自身が羽織っていた黒のスーツジャケットをAの肩にかけた。
「お？でもこれ濡れてるじゃないか」
「当たり前だろ、俺も外にいるからな」
雨を吸って重くなったスーツジャケットは、若干の居心地の悪さがあるものの、ルッチの背丈に合わせられたそれはAの体をすっぽりと包み込む為、先ほどよりは雨風を凌ぐことができる。
「んー、まぁ無いよりはマシかな？ありがとう！」
Aの無邪気な笑顔で正面から素直に礼を言われたルッチは、一瞬固まったかのように見えたがその硬直もすぐに溶けた。
「来るぞ、構えろ」
「うへぇ…」
正面から現れた巨大な波。ウォーターセブンを襲うであろう波よりは規模が小さいだろうが、それでも海列車をひっくり返してしまう脅威がある可能性が高い。
「それじゃ、やりますか」
Aは室内で作っていた水の塊を頭上に掲げた。
「ウルウルフィールド」
水の塊が周りの雨を吸収しながら大きく、平らになっていく。
「もっと大きくなあれ☆」
パチンッ！と指パッチンを一つすると、一気にグンッと水の塊が大きく成長した。
目の前に展開されているウルウルフィールドは、左右見ても先が見えない。恐らく海列車の倍以上はある大きさだ。
Aは重たいものを持つような仕草でそれを振り回した。
「うっ、ウルウルシールド！！」
右から左へ腕を振り回したAの行動に合わせるようにウルウルフィールドが飛んでいく。するとどうだろうか、Aの能力はそのまま海列車をぐるんと取り囲んだのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました！！最高です！！リメイク版楽しみにしてます！！ (2月5日 16時) (
レス) @page36 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 移行おめでとうございます。続きが待ち通しいです (2017年9月23日 5時) (レス) id: c86d4321b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫缶屋 | 作成日時：2017年9月12日 0時
