【色々と凄い残念な美人】3 ページ31
「アクアラグナに備えて早めに海列車を出航させたとはいえ、この荒れ模様。そろそろでかい波が来るから用意しろ」
ルッチの指示を受けたカリファが、Aの動きを制限している海楼石の手錠を外す。
カリファが手錠を外す理由としては、ルッチの方が立場的に上であるというのもあるが、能力者であるルッチが触れて力が抜けながらの作業より手っ取り早いというのも理由である。
身体のだるさから解放されたAは少し赤くなっている手首を労わるように擦りながら、身だしなみを整えていく。
「…後で絶対モフらせてね」
「………」
やはり覚えていたか。抜け目のない“男”だと、口の端を引き攣らせて心底嫌そうな顔をするルッチ。
無言は肯定と取ったのか、Aは上機嫌な足取りで海列車の窓を開けた。
「うおぉっ！！すっごい風！！」
海列車が走ることによって発生する風＋嵐による暴風の組み合わせによってAの髪が盛大に荒ぶる。
「やばいね！！」
「お前の見た目もやばいぞ」
雨と風でグシャグシャになった髪型は、ワノ国のホラー話に出てくる幽霊顔負けの破壊力である。
「男のくせに無駄に長い髪をしとるんじゃな」
「うん、伸ばしてるんだ」
顔面いっぱいに雨風を受けたことによってびしょ濡れになった己の身だしなみを、さらにせっせと整えていくA。あっという間に己の能力でもって水分を取り払ったAの周りには、先程までAに付着していたのであろう水滴が塊となって、ふよふよと空中に浮かんでいる。
「さてと、自然の脅威から護衛しますかね」
Aの指先がくるくる回るのにつられて水の塊がくるくる回転する。
世間一般として公開されているウルウルの能力というのは、能力者自信が嘘泣きできるという点であるのだが、能力は使い用とは誰が初めに言ったのか。
己の能力を理解して使いこなす姿はさすが天王と言うべきか。
「そんじゃ行きますか」
「……何故俺の腕を掴んでるんだ？」
「ほら、一人は寂しいからな」
強引にルッチの腕を引っ張って行くA。ルッチもルッチで抵抗せずに大人しくついて行っているその状況に、アクアラグナが去った後は槍でも振りそうだなと車両に残された残りのCP9全員が同じことを思っただなんて、ルッチには一生知ることも無い事なのだろう。
嫌、というよりはむしろ嬉しそうな顔でついて行っていたなんて事実をルッチに告げたあかつきには、殺される未来を想像することも容易いのだから。
触らぬルッチに祟なし。
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ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました！！最高です！！リメイク版楽しみにしてます！！ (2月5日 16時) (
レス) @page36 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 移行おめでとうございます。続きが待ち通しいです (2017年9月23日 5時) (レス) id: c86d4321b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫缶屋 | 作成日時：2017年9月12日 0時
