【色々と凄い残念な美人】1 ページ29
「それは海楼石じゃ」
頭上から降ってきた声の主に振り返るため、Aは鉛を付けたかのように重たい体を捻った。
見上げた先には弟、ルフィの船に乗っていた全員によく似た造形の顔がある。違うところといえば、形だろうか。鼻の長さは同じといえど、現在Aの目の前にいる人物のそれは四角形である。
「……カク…」
「覚えてたか」
「当たり前だ」
何が楽しいのか、愉快そうにクツクツと喉奥でくぐもった笑い声を漏らすカクに、Aは顔を顰めた。
「…そんなにこの姿が滑稽か？」
わざとらしく脱力してみせるA。わざとらしくというよりは、本当に全身を海につけたかのような脱力感に襲われてはいるのだが、強気であり余裕な素振りを見せるのは、もはや大将天王の義務として癖付けられているのである。
「いや、そうじゃなくてな。名高き天王がワシの名前を覚えてくれてた事実が嬉しくて、なんだかおかしな気分になっての？」
おかしな気分とは？Aは首を傾げながら頭の上にいくつものクエスチョンマークを乗せたが、それすらも面白いのだろう、カクの小さくも愉快そうな笑い声は止まらない。
「…あれ、そういえばルッチは？」
「ブルーノと一緒に第一車両から波の様子を見てるわ」
次にAの問いに返したのは、Aの真後ろにいたカリファ。床に寝転がっている状態でカリファの姿が見えなかったAの肩が、少しの驚きと共に飛び上がる。
カッカッとヒールの主に踵部分でスタッカート音を鳴らしながらカリファはAの背後に近づくと、そのままAを跨いでカクの前の席に腰を下ろした。
「失礼」
「いや、ほんと失礼だよ。大将の上を跨ぐなんていい度胸してるね」
秘書という立場上、見た目の問題で眼鏡を掛けているのかと思ったが、どうやら普段から掛けているらしい。カリファは少しズレてしまった眼鏡をクイッと定位置に戻しながら、スラリと長い絹のような肌が艶かしい足を組んだ。
これには思わず“男”である大将天王も、特等席とは言い難いが今現在この時をもって誰よりも得をしているであろうその場所で、ひとつ口笛を吹いた。
「跨いだ時にも思ったけどやっぱり…うん」
「何かしら？言いたいことがあるならどうぞ？」
「では、お言葉に甘えて…眼福ですありがとうございます」
真顔ではあるが、端整な顔立ちでもってキリッと決めてみせる天王のイケメン度だけをみれば惚れ惚れするものだが、口から出た言葉はあまりにも残念なものであった。
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ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました！！最高です！！リメイク版楽しみにしてます！！ (2月5日 16時) (
レス) @page36 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 移行おめでとうございます。続きが待ち通しいです (2017年9月23日 5時) (レス) id: c86d4321b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫缶屋 | 作成日時：2017年9月12日 0時
