【ニャンと鳴け！】2 ページ23
しかし下がったといっても半歩程度である。ルッチからしてみれば充分すぎるほどに近い距離だ。それでもルッチが何も言わないのは、この短い付き合いの中でこれ以上何を言っても無駄だと言うことを理解しているからである。
扱いやすいのか扱いにくいのか、大将天王とはそういった“男”であるのだ。
「てことは本物の豹みたいにもなれるんだよね？」
「獣型か、変型できるにきまってるだろ」
その瞬間、Aの目が輝いた。
「今ここで変型してみてくれ！！」
「…は？」
今まで見たことがないくらい瞳を輝かせながら迫ってくるAに、ルッチは椅子から立ちあがった。
あまりにもずいずいと近寄ってくるAに対し、面倒事になる前に逃げるためである。
勿論殺すのが1番手っ取り早いのだが、ルッチも馬鹿ではない。海軍船で堂々と大将を殺したらどうなるかぐらいわかっている。
「…断る」
「えっ！！なんで！？減るもんでもないだろ！！」
「いや、確実に俺の中の何かが減る」
そう。目の前で息を荒らげながらジリジリと近寄ってくる大将天王の前で、獣型に変形したら何かを失う。確実に。ルッチはそう確信していた。
だから窓を割った。逃げるために。
がしゃあああああんっ！！
「えええ！？」
まさかそんな強硬手段に出られるとは思わなかったAは、遅れをとってしまった。
「ちっ、居ないか」
窓から身を乗り出して下を見てみたが、勿論視界に広がるのは青い海だけである。
ルッチのことだ。海に落ちたというのはありえない話だろう。現に、海に何か人と同じ体積のものが落ちたような音はしなかった。
恐らく月歩で空を蹴って上に逃れたのだろう。
「はぁ……せっかくモフモフ出来ると思ったのに…ドフィとはまた違ったモフモフ……豹…猫…モフモフ……」
CP9最強とされる男をモフモフしようだなんて考えに至るこの図太さが、Aの大将たる所以なのかもしれない。というのは冗談ではあるのだが…。
・・・・・・
その後、密かにAのあの奇行が気になっていたルッチは、独自の情報網でとある噂を知ったのだ。
「大将天王は大の猫好き、という噂を耳にした。これであの奇行にも頷ける」
「あー…思い出した。変形してって言ったのにしてくれなかったやつか」
でも何故今更その話が出てくるのだろうか、Aは首を傾げたが、すぐにその理由についても納得させられた。
「今ここで大人しくこちら側に戻れば、触らせてやる」
「えっ、マジで？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました！！最高です！！リメイク版楽しみにしてます！！ (2月5日 16時) (
レス) @page36 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 移行おめでとうございます。続きが待ち通しいです (2017年9月23日 5時) (レス) id: c86d4321b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫缶屋 | 作成日時：2017年9月12日 0時
