【ニャンと鳴け！】1 ページ22
「猫好きなんだろう？」
「…………は？」
緊張感が抜けた。思わずAの口から出たように、その場にいた全員の脳内で「は？」と言葉にしたことだろう。
今この場で誰よりも威圧感を放つルッチから何を言われるのかと思いきや、予想の斜め上を行過ぎて折れ線グラフはもはや直角に折れ曲がり、垂直に天上を突っ切る程の予想外な質問に、Aの警戒体制が崩れた。
嘘だと思いたい。こんな殺伐とした空気感の中でルッチからあんな問いかけをされるなんて…嘘だと思いたい。
「猫好きなんだろう？」
「いや、二回言わなくてもいいから」
だがしかし、ルッチは再度同じ質問をした。
もう聞き間違いには出来ない。目の前で二度も同じ質問をされたAは、素直に答えてしまった。
「好きだけど…なんで今そんなことを聞くんだい？」
「お前、船に乗ってる時に聞いてきた事があっただろ」
「え？」
なんの事だろうか。Aはウォーターセブンまでルッチと共に過ごした船旅での出来事を思い出しため、顎に手をあてて考えた。
・・・・・・
時は少し遡り、Aとルッチによる海軍船での航海中の出来事である。
「…ルッチ」
ここはルッチ専用にあてられた船の一番奥の部屋。
Aは暇があればルッチの部屋にお邪魔し、書物を読んでいた。戦闘しか脳のない人間かと思いきや、意外にも勉学に理解があるとAが思ったのはまだ新しい記憶である。
初めのうちは鬱陶しがってAを追い出そうとしていたルッチであったが、追い出そうとする＝構っているという認識がAにはあるらしい。何回かやり取りをするうちに、無視していた方がずっと大人しく黙々と読書をしてくれるというのをルッチは学んだのだ。
「……なんだ？」
Aが呼べば、少し間を開けてだが返事を返してくれる程度にはお互いに慣れた関係である。
なんだかんだルッチの事を憎めないでいる理由はこれだろうかと、Aは机に向かったままのルッチに聞いた。
「お前。ネコネコの実、モデル豹(レオパルド)を食べたんだろ？」
「…そうだが、再確認してどうする」
ルッチは目を通していた書類から視線を移してAを見た。いつの間に近づいたのか、Aの顔がやたら近い位置にあると気づいたルッチは、若干顔を引き攣らせた。
「近い」
「あっ、ごめん」
本人も気づいていなかったらしく、ルッチに注意されて少し後ろに下がったA。
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ツバキ(プロフ) - 面白すぎて一気見ました！！最高です！！リメイク版楽しみにしてます！！ (2月5日 16時) (
レス) @page36 id: 340cc653a8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 移行おめでとうございます。続きが待ち通しいです (2017年9月23日 5時) (レス) id: c86d4321b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫缶屋 | 作成日時：2017年9月12日 0時
