Memories ページ30
Syu-ichi side
_____『ねぇ、あなた日本人?』
少し、昔の話をしよう。
彼女が俺に掛けた最初の言葉は それだった
___父親が消息を断ち、その真相を探る為に渡米して1ヶ月後のこと
何気なくNYの街を歩いていた時だった
両手を食材の入った袋でいっぱいにした少女が、突然俺にそう声をかけてきたのだ
「そうだが……君もか?」
黒髪の少女にそう返すと、彼女は『そうよ』ととても綺麗に笑ってみせた
『同じくらいの歳の日本人と会えたのは久しぶりだわ!』
『私は桜井A、あなたは?』
「……赤井秀一」
『秀一!素敵な名前ね!』
彼女は故郷の話が出来る同年代と会えたのが嬉しかったらしく しきりに質問した後、すぐに俺を家に招いた
出会ったばかりの見知らぬ人間を自宅に入れるだなんて不用心だと思ったが、彼女と彼女の両親はとても温かく俺を歓迎した
あの両手に抱えていた食材はこの為だったのかと、食べきれないほど振る舞われた料理を見て思った
『絶対にまた来てね、秀一!』
帰り際、彼女は俺の手を握ってそう言った
『もうお友達だもん』なんて、まるで童話の主人公のような人の良さ
太陽のような笑顔だ
白く細いその身体とは裏腹に、溢れるような活力に溢れていた彼女は眩しかった
俺とは正反対だな、と何となく思ったのを覚えている
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長谷川(プロフ) - alien0927さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます(*ˊ˘ˋ*) (7月22日 20時) (レス) id: 9afad4612f (このIDを非表示/違反報告)
alien0927(プロフ) - とっても面白くて更新が楽しみです^_^素敵な小説を書いてくださりありがとうございます! (7月20日 1時) (レス) @page34 id: bdf1edc050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:長谷川 | 作成日時:2023年7月14日 21時