After story 23. ページ45
-Otowa Side-
成田空港。国際線ターミナル。
クリーニングに出したばかりの皺ひとつないスーツと、いつの日か彼女がプレゼントしてくれた群青色のネクタイを身につけ、空港の中を歩いていた。
�猗�行機、ちゃんと間に合ったよ��
可愛らしいグッドマークのスタンプと一緒に今朝入っていたメッセージ。
もう何度目かの確認をして、到着ゲートの前に向かう。
思えば、彼女とはじめて顔を合わせたのも空港。
それも目を背けたくなるくらい酷い飛行機事故の現場だった。
あの時の彼女の表情は、今でも忘れない。
決意と、覚悟に満ち溢れたあの目は、
息を呑むほどに綺麗で、
それでいて、強くて。
胸を鷲掴みにされたような感覚だった。
そして、幼い頃に目指していた医師像を、そのまま形にしたようだった。
思わず抱いた羨みや、その中に潜んだ微かな妬みよりも先に、彼女を知りたいと思った。
その目の奥にある、原動力とは。
何が彼女をそうさせているのか。
それを知った今でも、俺から見える姿は何も変わらない。
ただ、目の前の命だけが彼女を突き動かしていた。
彼女との出会いに思いを馳せつつ、飛行機を降りた人々で溢れかえるロビーの中、たった1人の愛おしい存在を探す。
この2年間、
彼女の居ない職場で
彼女の居ない部屋で
彼女の居ない現場で
居るはずもない彼女の姿を探し、似たような香水を纏った女性とすれ違えば振り返り、毎日隣で聞いていた愛おしい声を求めた。
同じ時間を生きている彼女が、世界の裏側で、静かに涙を流しているんじゃないか。
自分の見えない場所で、独りで押し潰されそうになっていたら、と思うと心配で眠れない夜もあった。
東京海浜病院を去ったあの日から今日まで、彼女の存在が頭を離れたことは1秒もなかった。
ある訳が、なかった。
だから、
こんなにも待ちわびていた貴方と
目が合うのなんて、ほんの一瞬のことで。
「尚！！！！」
色が抜けて明るくなった亜麻色の髪、やや大人びた服装、少しだけ痩せた彼女は、あの日々と何も変わらない柔らかい笑顔で、俺に手を振った。
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Ria(プロフ) - とても素敵なお話でした この後の2人がすごーく気になりますが(笑) (11月22日 8時) (
レス) @page47 id: b18326fb22 (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 琉愛（るあ）さん» 琉愛様→最後までご覧頂きありがとうございます…！楽しんでいただけたようで嬉しいです〜！ (9月20日 1時) (レス) id: 9001ca60a4 (このIDを非表示/違反報告)
琉愛（るあ）(プロフ) - 最高の作品でした！！！完結まで書いてくださりありがとうございます！執筆お疲れ様でした。本当に本当に最高の作品をありがとうございます！ (9月19日 21時) (レス) @page47 id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi | 作成日時：2023年8月2日 23時
