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-Otowa Side-
｢救出まで、あとどのくらいですか。｣
妊婦と生まれた赤ちゃんの循環管理をメンバーに任せ、現場に残った喜多見チーフ、弦巻先生、夏梅さん、徳丸くんと壁の向こうへの救助を試みていた。
｢あと10分、、、いや、5分で。｣
｢A先生！！！！喜多見です！！きこえますか！！！｣
｢A先生！！！！！！！？｣
イヤホンマイクを通して、耳に入ったのは。
愛しい彼女からの返答ではなく。
若い女性の涙が混じった叫び声だった。
彼女の名前を呼んだだけ。
ただ、それだけなのに
泣きながら叫ぶその声は、彼女の容態が思わしくないことを悲痛な程に告げていた。
心のどこかで分かっていたのだろうか。
覚悟が、できていたのだろうか。
ただただ、手が震えていた。
｢もう、待てません。｣
いいですね、と喜多見チーフが千住さんに頷き、壁の向こう側の彼らに、伏せろ！と叫ぶと同時にレスキューが一気に壁を崩した。
僅かに出来た隙間から入り込み、目にした光景は。
最悪な想像をそのまま現実にしたようだった。
弦巻先生と夏梅さんは、意識がはっきりとした男性2名へ。
喜多見チーフと徳丸くんは、苦しみながらもなんとか堪えていた女子高生のもとへ。
そして、隣で意識を失い倒れ込んでいる彼女のもとへ。
｢先生を、助けてあげて。お願い。私のせいで。｣
顔を歪め、涙を流しながら、息絶え絶えに言葉を零す少女の手首には、トリアージタグが。
赤色を示したそのタグには、見慣れた文字がつらつらと並んでいた。
｢第一優先で運べ、、、、？｣
隣で少女を診ていた喜多見チーフは、手首に残された指示を見て思わず声をあげる。
眠っているかのように意識を失う彼女が、確実に俺たちに残した意思表示。
それは、
あまりにも綺麗で、
あまりにも残酷だった。
メンバーが、レスキューが、一斉にこちらを向いた。
指示を、決断を、仰いでいた。
A、ごめん。
｢助けましょう。＿＿＿＿｣
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Ria(プロフ) - とても素敵なお話でした この後の2人がすごーく気になりますが(笑) (11月22日 8時) (
レス) @page47 id: b18326fb22 (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 琉愛（るあ）さん» 琉愛様→最後までご覧頂きありがとうございます…！楽しんでいただけたようで嬉しいです〜！ (9月20日 1時) (レス) id: 9001ca60a4 (このIDを非表示/違反報告)
琉愛（るあ）(プロフ) - 最高の作品でした！！！完結まで書いてくださりありがとうございます！執筆お疲れ様でした。本当に本当に最高の作品をありがとうございます！ (9月19日 21時) (レス) @page47 id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi | 作成日時：2023年8月2日 23時
