After story 17. ページ29
-Your Side-
砂埃に塗れたトンネルの中に残された重症患者。
直ぐに処置が必要な上、ここから動かしてしまうのは危険な患者 ＿＿赤タグの中でも、更に深刻な症状を示しているのは4人だった。
現場状況の無線を入れたあと、イヤホンマイクから聞こえてきたのは、聞き間違うはずもない、彼の声。
思わず安堵のため息を漏らし、近くにいた患者に向き直った途端、目の前の景色が歪んだ。
少し離れた場所で、患者の救出を行っていた千住さんをはじめとするレスキューとの間には、崩壊した瓦礫が降り積もり、壁のような形で遮断される。
「千住さん！！！！！！？」
崩落で飛んできた瓦礫は、患者を庇った私の頭にも容赦なく降りかかった。
その衝撃と突き刺すような激しい痛みに思わず顔を歪めつつ、壁の向こうの千住さんの名前をただひたすら呼んだ。
腕の中には、頭部外傷を負った男の子。
すぐ近くには、1度目の崩落で足を挟まれた女子高生と、骨盤骨折の男性。
そして、壁の向こうにはもう1人の重症患者。
しかも、その女性は妊娠していたはず。
「Aさん！！！そっちは無事か！！？」
ようやく聞こえた声に思わず胸を撫で下ろす。
「私は大丈夫です！でも、！！！！」
千住さんの元にいる妊婦は、きっと後発の東京チームが、、、いや、統括官の彼が診てくれるはず。
大変なのは、こちらの方だろう。
いつ急変してもおかしくない患者が3名。
ひとり診るのだって精一杯。
一気に容態が変われば、私の手が足りなくなるのなんて目に見えていた。
そして、その命を救う術を持つ私も、あまり軽くは無い怪我を追っていて。
少し動かす度に増していく後頭部の痛み、僅かな目眩、気を抜けば浅くなる呼吸。
トンネル内の安全確認が取れていない今、唯一の出口を遮断されたこちらの救出の優先順位は相当低いのだろう。
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Ria(プロフ) - とても素敵なお話でした この後の2人がすごーく気になりますが(笑) (11月22日 8時) (
レス) @page47 id: b18326fb22 (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 琉愛（るあ）さん» 琉愛様→最後までご覧頂きありがとうございます…！楽しんでいただけたようで嬉しいです〜！ (9月20日 1時) (レス) id: 9001ca60a4 (このIDを非表示/違反報告)
琉愛（るあ）(プロフ) - 最高の作品でした！！！完結まで書いてくださりありがとうございます！執筆お疲れ様でした。本当に本当に最高の作品をありがとうございます！ (9月19日 21時) (レス) @page47 id: abb9ea5a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mi | 作成日時：2023年8月2日 23時
