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-Kitami Side-
無事に手術を終え、オペ室を出る。
A先生のバイタルは安定し、先程救急隊に引き渡した。
同乗します、と言って病院に向かった音羽先生の酷く心配そうな顔は見ていられなかった。
ふたりの間に何かあったのだろうか、聞きたい気持ちを抑え、彼をそっと送り出した。
｢喜多見チーフ！｣
冬木先生がにこやかに声をかけてくれる。
｢A先生、安定して良かったですね。今回も無事に死者ゼロで！目を覚ました時に喜んでもらえそうです！｣
酷い事故だったにも関わらず、彼女の勇敢な行動のおかげか、死者は出ていなかった。
｢それにしても、A先生はMERに入って随分と喜多見チーフに似ましたね。｣
｢え？そうですか？｣
｢今日だって。自ら危険な現場に飛び込んでいく後ろ姿は、喜多見チーフそのものでした。｣
｢本当ですか。｣
｢ええ。喜多見チーフが、この1年で見せてきた背中だと実感しました。｣
チーフおかえりなさい、と言って冬木先生はこちらに微笑む。
｢でも、、、A先生の表情は音羽先生そっくりですけどね。｣
｢え？｣
今度は彼がこちらに聞き返す。
｢医師としての判断を下す時の表情、何かを決断した時の強い目。音羽先生が現場でひとりの官僚からひとりの医師に変わる瞬間とそっくりです。｣
｢確かに、そうかもしれませんね。｣
｢似たもの同士、なんでしょうね。彼らがこれからも共に命を救っていく未来が楽しみです。｣
2人で顔を見合わせて笑う。
あの日から止まっていたこのチームの時間が、また動き出した瞬間だった。
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作者名：mi | 作成日時：2023年6月25日 23時
