Terminal ⅱ (ページ21)

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そんな私を前に彼は大きなため息をつき、ペットボトルの水を手渡した。

「あ、、、ありがとう。」

「昨日の夜、徳丸くんに抱き抱えられて帰ってきたよ。」

「！！！！え！！！！？」

彼の衝撃的な一言に、流し込んだ水が喉に詰まりそうになる。

「嘘だよ。でも、徳丸くんが家に連れてきたのは本当。」

「、、、うわ、、やっちゃった、、徳丸くんに連絡しなくちゃ。」

一気に申し訳なさが押し寄せ、テーブルに置いていたスマホを手に取ろうとすると、彼は私の腕をとり、そっとソファに押し倒してこう言った。

「で、わざわざ送ってくれた徳丸くんを放っておいて、帰ってくるなり俺に抱きついてきてキスせがんでたよ。」

「え。」

彼の口から告げられたまさかの出来事に思わず固まってしまう。

いや、そんなわけない。

でも何も覚えないし、そんなわけないかもわからない。

冗談だよね、、、と微かな願いを込めて彼を見上げるも、口角をあげて首を横に振るだけだった。

「あの、、、それで、、。」

「ん。」

「ほんとに、、徳丸くんの前でキスした訳じゃないんだよね、、、？」

さすがの彼も人前でそんなことしないはず。
分かってはいるけど、念のため確認してみる。

「、、？したよ？」

そう言って彼はいつもより少し雑に私の唇を奪い、耳元で小さく呟く。

「だって、世界一好きな人にちゅーしてって可愛くお願いされたら。するよ、そりゃ。」

もう言葉も出ない。

穴があったら入りたい、とはまさにこの事。

彼の腕を押し返し、洗面所に駆け込む。
鏡に映る私の顔は真っ赤。
昨晩のアルコールのせいで浮腫んでいるし、お世辞にも可愛いとは言えない顔をしている。

これが、彼の世界一好きな人だなんて。
誰もいない洗面所でひとり大きなため息をつく。

私、明日からどんな顔して出勤するんだろう。
待ちに待った正式発足早々、私のセカンドドクターとしての僅かな威厳は完全に失われたのであった。