Terminal ⅱ (ページ18)

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-Tokumaru Side-

数時間後。

完全に出来上がった喜多見チーフは冬木先生にもたれかかり、いくら飲んでも様子の変わらない夏梅さんに介抱されている。
そんな彼の向かいに座るA先生も完全に酔っ払い、俺の肩ですやすやと眠っていた。

チーフドクターとセカンドドクターが泥酔して使いものにならない。

こんなチームで良いのだろうか。

うん、たぶんだめだろうな。

私たち、明日も仕事なので！と颯爽と帰って行った比奈先生とミンさんをほんの少し恨みつつも、夏梅さんと冬木先生と目を合わせる。

「夏梅さん、ご実家に帰るんですよね。私が喜多見チーフを送っていきますから。大丈夫ですよ。」

冬木先生の言葉に、夏梅さんが嬉しそうにお礼を言う。

ん？ということは？

「え！！俺、A先生送ってくんスカ！？」

「そうよ～！他に誰がいるの！！！？」

「これ、、、音羽先生の家に送るってことッスよね、、、」

あ、と全員が声をあげる。

仕方ない、彼女がこんなに酔っているのも彼のため。
そして、俺のせい。

酔っ払えば彼との惚気でも聞けるかな、ついでに誕生日に欲しいものでも聞いてやろう、と思った俺の考えは甘かった。

音羽先生とはどうなんですか？というミンさんの問いかけにも、えー？いつもと変わらないですよー？の一点張り。

なんか最近欲しいものとかないの？という俺の問いかけには、休み！非日常が欲しいです！と即答された。

実家に帰る夏梅さん、喜多見チーフを引きずる冬木先生を見送り、俺も彼女を連れてタクシーに乗り込む。

「A先生！音羽先生の家、帰るんすよね？住所言って！！！！」

気持ちよさそうに眠る彼女を叩き起し、どうにか住所を伝えると、タクシーはゆっくりとその場を出発した。

いつもあんなにしっかりしてて、
頼れるドクターで、
みんなに優しくて、
しかも可愛くて、
誰からも好かれる性格の彼女が、男の肩を借りて無防備に眠っている。

あまりにも、危機感がなさすぎるんじゃないだろうか。

A先生も、もちろん音羽先生も。