Terminal ⅱ (ページ14)

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「ち、ちがうっすよ！！！ほら！MERも正式認可されたことだし、みんなで飲み行こうって話してたじゃないすか！A先生と比奈先生まだ誘ってなかったなーって！！」

「私がお店を予約しますので。おふたりも予定が合いそうでしたら、ぜひ。」

冬木先生も優しくフォローを入れる。

「私土曜日なら大丈夫ですー！A先生は？？」

「確認します、ちょっと待ってね、、、」

仕事用のトートバッグにも、ロッカーにも、ポケットにも、、ない。

「スマホ、、、ない、、、。」

「えーーーっ！どこに忘れたんですか～！」

全員総出で私のスマホ捜しが始まった。
ERカーの中、見てきます！といって出ていく徳丸くんとミンさん。
スタッフルーム内をくまなく探し回る、私と比奈先生と冬木先生。

10分後、私たちはため息をついて顔を見合せた。

「今朝バタバタしてたから、家に置いてきちゃったのかも。すみません、お騒がせして。」

「家って、もしかして、、、」

徳丸くんの声を遮り、ガチャと音をたて扉が開く。

入ってきたのは、今朝まで隣で寝ていた彼だった。

「「「「音羽先生！！！？」」」」

誰も知らされていない彼の来訪に思わず全員が声をあげる。

「なにか、こちらでお仕事ですか？」

冬木先生の問いかけに、彼はゆっくりと首を横に振り、私に〝なくしていたソレ〟を差し出した。

「あ。」

「忘れ物を、なさっていたので。」

「ご、ごめん。忙しいのに。ありがとう。」

「大丈夫。じゃ、また後で。」

滞在時間わずか1分。彼は直ぐに部屋を出ていった。

「ふーーーーーーーん？」

徳丸くんの声に後ろを振り向くと、口元を緩ませた4人。

「今朝の遅刻は音羽先生の家に泊まってたから、なんですね？」

「わざわざ届けてくれるなんて、音羽先生優しいんですネ～～～！！」

「また後で、って言ってましたよね！今夜も2人で会うってことッスよね～？」

「まぁまぁ、おふたりのことですから。そっとしておきましょう。」

もう誤魔化しようがない。

全員に冷やかされつつも、私は今夜も愛しい彼が待つ家に帰る。