【2j3j】勘違いされる系Vtuberは気にしない【男主】

連絡先 ページ14

加賀美ハヤトは頭を悩ませていた。

今度ゆっくり話そうと言って置いて行ってしまった鈴中さんの連絡先を聞いていなかったのだ。

会って謝りたい、でもその術が無い。

そのジレンマに悩みに悩んでいたのだ。

「鈴中さん、連絡先…」

ブツブツと呟きながら事務所を徘徊している姿は最近のにじさんじ名物となりつつあった。

剣持以外は鈴中が誰なのかもしらない状態ではあるのだが。

その剣持は少しの罪悪感に胸を苦しませていた。

自分が邪魔をしたせいで社長があんなに悩んでいるということを自覚していたからだ。

「あの、本当にすみませんでした」

「いえいえ、気にしないでください。連絡先を聞いていなかった私の落ち度です」

そう言ってフォローをしてくれる社長の大人さに救われる。

鈴中Aの姿を見かけたら社長にすぐに献上しようと心に誓った。

「鈴中さん、連絡先…」

そう呟きながら去っていく社長の背中を見つめた。

加賀美は考える。

どうやったらもう一度あの子に会えるのか。

この事務所で出会ったあの日は本当に奇跡だった。

あの日の奇跡は神様が私にくれたプレゼントだと思っている。

…そもそもなぜ鈴中さんはこの事務所に来ていたのだろうか。

この事務所の社長に謝りたいことがあるとかだったか？

それはなぜ？

しばらく考えてみるが答えは出ない。

いっそのことまたここに来る可能性をかけて入り口で待ち伏せしてみるか？

色々限界だった加賀美が考えられるのはそれくらいしかなかった。

そしてその単純明快な考えが功を奏するとは誰も考えつかなかったであろう。

待ち伏せて一週間ほど、ついにその瞬間が訪れたのだ。

待ちに待った人物が現れた瞬間の加賀美は本当に色々限界だった。

言いたいことはたくさんあるものの、一番伝えたかったことは、

「鈴中さん、連絡先、教えてください！」

『っひぁっ…！』

こうして二人はまた出会うことができた。

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