か れ し （ 仮 ）【Kn】

嘘が14 ページ19

「ん、ああ、スマイルね最近別れたってさ」

と、通話の相手きりやんは笑った。
スマイルとAちゃんはやはり付き合っていた。

彼からそんなこと聞いたことも無かったから、知らなかった。

「へぇ。スマイルに彼女いたの知らなかったわ」

「ま？まあアイツ言いたがらなかったもんなぁ」

「ふーん、なんで隠してたんだろ」

「恥ずかしかっただけじゃね？」

通話時間も長く、キリが良くなったということでここでお開き。
この後は溜まっている動画の編集でもしようか。

ファイルにある録画データ達を眺める。
これとか伸びそう、でもこれのPart2も出さなきゃ。

俺はこうやって考える時間が好きだ。

誰にも邪魔されずにただただ1人で考える。


とあるファイルに目がいく。

【※11:25〜はカット必須】というメモが残されていた。

何かあったっけと俺は観てみる。

その動画はいつもの弓のゲームだったが、特殊ルールが追加されており絶対に伸びそうという確信があるものだった。

カット必須と書かれているところを観ると、

”あ、ごめん彼女から電話。A怒るから出てくる”

と言い残し通話を抜けたスマイルの声が。

しっかり彼女、Aという単語を言っているではないか。
そんなこと記憶にも無かった。

(何だ。隠してなんか無かったじゃん)

一瞬、隠すほどやばい女なのかと疑ったがそんなことは無かったようで何故か安堵する。

ふと脳裏にアイツの顔が浮かんでくる。
この前はいきなりキスをした。

微塵も感じられなかった愛に少し悲しくなったのを覚えている。

(Aからの愛、いつの間にか欲しがってる俺がいる)

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