甘い君 (ページ16)

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帰り道私は怒る演技をしたのはいいものの
演技を終わらせるタイミングをつかめず、治くんはずっと
私の機嫌取りをしてきている……すっごい申し訳ない………

『……もういいよ……』

治「ほんまごめん……」

『まじで大丈夫、だって全然怒ってないもん。
いつも私ばっかりからかわれるから、
意地悪しようとしただけで怒ってないよ。』

治「なんや、本気で怒ったんかと思った……
俺、椎名に嫌われるの嫌やから。」

私に嫌われるのが嫌という稲荷崎の人気者の治くん。
私にそこまでの価値ないんやけどなー
クラスの女子や、りかのが可愛いし。
正直こうも治くんや角名くんから仲良くしてもらえてるのは
バレー部やったからやと思う。
もしバレー部のマネージャーしてなかったら、
私は視界には入ってない。

『治くん、友達になってくれてありがとうね』

治「なんや？急に。」

『だって私さ、バレー部のマネにならなかったら……』

治「椎名はさマネだったから俺と仲良く慣れたって思っとるん？」

『だってそうやない？ごく普通の人間だし』

治「俺はマネだからなんて思ってへん。
普段から気ぃきくし、飯美味そうに食うし、誰にでも優しいやろ
そんな当たり前な所惚れてんから……………ってやべ。」

今…………さ…………惚れてるって言った？
え？聞き間違いだよね？いや、でも待って。
ちょうど月明かりに照らされて顔が見えた
目の前にいる治くんは顔が赤くなっていた。
これドッキリかなにかか？
だってこんなに皆から揶揄される見た目の持ち主やで？

治「…………口滑らせたし。
ほんまのこと言うで、俺は椎名のことが好きや。」

『いやいや、そんな冗談……』

治「冗談やない。付きあって欲しい」

『え、っと……ごめんちょっと考えてもいい？』

私は急にポロッと出た冗談じゃない告白に頭がパンクしそうで
考える時間が欲しいと言った……
だってそもそも私気づかなかったし、今までそんな兆候なかったやん。
え、最近色々問題を解決したって言うのに……今度は、
また敵が増えるような……ってダメだ。
真剣に考えないと、治くんの事だから冗談じゃないんだほんまに

それからというものの自宅に帰った記憶すらもない
ずっと頭でグルグル回るのは治くんの言葉だけ