♯ Day４ ページ4
＊
『お兄ちゃんのポンコツ…』
今の状況を説明すると、私はお弁当を握りしめてお兄ちゃんの教室へと足を進めている
ちなみに私が握りしめているお弁当の本来の持ち主はお兄ちゃんのもので。
まったく.…3年生の教室なんてただえさえ怖くて行きたくないのに
『甲斐田晴、いますか？』
「あー甲斐田？今呼んでくんね」
教室に着くなり、なにやら人の良さそうな男の人がお兄ちゃんを呼びに行ってくれた
待ってる時間って気まずい…
居心地悪く3年生がワイワイしてる教室に目を泳がした瞬間見覚えのある派手髪が揺れたのが見えた
あ、不破先ぱ、＿
「湊wwwちょーおもろい」
なんでか分からないけど
体が動かなくなって
静かにそっと息を飲んだ
あれはきっと、バックハグってやつ
不破先輩…抵抗してないし、あの女の人と付き合ってるのかな
「Aごめーん！ありがと」
『ぁ、お兄、ちゃん』
現実にグッと戻されるようにお兄ちゃんの声が脳内再生される
けど、どうしてもさっきの不破先輩が頭にチラつく
教室で堂々とイチャつくあたり、大人だなぁ…ちょっと私には刺激が強い
「Aちゃん？」
これ以上用もないので自分の教室に帰っていた途中、後ろから私を呼ぶ声が聞こえた
まさか、と思って振り返ってみれば案の定不破先輩で
うわぁ…なんだろう…怒ってる感じはしないけど…
『は、はい』
「さっき教室来てたん！？声かけてくれればええのに！」
できるかって心の中で思わずツッコむ
私だって空気ぐらい読むんですよ、って不破先輩を見つめると訳の分からないって顔をされる。え、訳が分からないのは私もなんだけどな…
『さ、さっき、彼女さんといたじゃないですか！』
「んは、さっきの人彼女じゃないんよね」
『…ぇ、え、え？』
向こうが勝手に抱きついてきただけやから、ってにっこりして目を細める不破先輩。
あ、と声が漏れる
すぐに理解した。自分でも驚くくらい冷静だった
この人は絶対、好きになっちゃいけない人だ
危ない、心を許しそうになってしまった
前一緒に帰った時、危うく惚れかけた気がする。
こんな人好きになったら絶対傷つくだけ
私だってバカじゃない
好きになっちゃいけない人の区別ぐらいつく
私がそんなことを考えているとも知らずに目の前の男は、ヘラヘラと唇の両端を吊り上げている
お兄ちゃんには悪いけど、この人とは関わりたくない
＊
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作者名：ふわふわたつのり | 作成日時：2023年3月15日 23時
