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モリ「あぁ、しないぞ?」
『「え?」』
ハニ「だって、その話はAが5歳のときの口約束なんだもん」
モリ「覚えてないのも仕方ない、意識も朦朧としてただろうしな」
…私が5歳のときの?
《Aが5歳の頃》
ハニ「Aちゃん、Aちゃん。しっかりしてよぉ」
モリ「A…大丈夫か…」
『みつにぃ…もりにぃ……………くるしいよぉ』
なんで、わたし、こんなにくるしまなきゃ、いけないの?
なんでなの?
ねぇ、わたし、たくさんしたいこと、あるの。
みつにぃと、おかし、たくさんたべたり、
もりにぃに、けんどう、おしえてもらったり、
おともだちも、ほしいの。
それにね、
すてきな、こいも、してみたい。
そして、
『だいすきなひとと、ずっと、いっしょにいたいの』
ハニ「Aちゃん…」
モリ「…俺が、ずっとそばにいる」
『もりにぃ、が?』
モリ「あぁ」
『じゃあ、わたしの、こんやくしゃになってくれる?』
モリ「こん、やくしゃ?」
『ずっと、いっしょにいるやくそく、なんだよ』
モリ「Aが望むなら…俺はAの婚約者になるよ」
『ほん、と?』
モリ「あぁ」
『えへへ、ありがとう、もりにぃ』
『え!?昔の私そんな約束してたの!?待って!めっちゃ恥ずかしい!!!』
ハニ「あの後Aちゃん寝ちゃって、起きたらなーんにも覚えてなかったんだけどねぇ」
モリ「責任は取るつもりだった…けど今Aの傍には俺よりも相応しい人がいるらしい」
もりにぃは優しい手つきで頭を撫でてくれる。
なんだが、懐かしい気分になった。
『ごめんね、もりにぃ。私のせいで振り回しちゃって』
いいんだ、という彼の顔はあの写真のようなやわらかい笑顔だった。
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作者名:Lion | 作成日時:2024年2月23日 0時