ハニー先輩の妹は病弱でした (ページ31)

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馨side

ﾊﾆ「いらっしゃい崇〜と、あれ？カオちゃんも一緒なの？」

馨「お邪魔しますハニー先輩」

モリ先輩が帰ろうとしたところで咄嗟にかけた言葉は「一緒に連れてってください」だった。

ﾊﾆ「2人ともありがとね。Aちゃんなら、さっきまでキツそうだったけど今は落ち着いて寝てるよ〜」

良かった、と出る声に反して心の中は3日前のことで沢山だった。

ここの廊下、ハニー先輩とモリ先輩のお父さんが話してたところだ。

あの時の状況がずっと頭の中で繰り返される。

ﾊﾆ「ここでAちゃん寝てるからね、どうぞ」

気づいたら一室まで辿り着いていてモリ先輩はズンズンと普通に中に入っていった。

え？一応女の子の部屋なんだよね？

ﾊﾆ「まぁまぁ見れば分かりますからぁ」

そう言われハニー先輩に背中を押されながら部屋に入ると僕は驚く。

……これが部屋？

周りには必要最低限のものしか置かれておらず、その代わりに大きいベッドとその周辺に色んな機械が置かれてるだけだった。

ﾊﾆ「女の子の部屋とはだいぶ違うなって思った？」

馨「うっ、まぁ……」

ﾊﾆ「あんまり物置すぎるとホコリが出て身体に悪いししお医者さんが来たり救急車で運ぶ時に不便なんだよね

　けどこっちは重体の時用で隣にちゃんとしたAちゃんの部屋はあるよ！」

じゃないとこんな簡単に部屋に入らせないよ〜、とさも当たり前かのようにいうハニー先輩を見て改めてAの大変さを実感する。

モリ先輩はというとすぐにAの傍にいき優しく頭を撫でていた。

その顔はとても優しそうな顔で見てるこっちまで恥ずかしくなるような感じだった。

モリ先輩、Aのこと好き、なのかな。

この部屋の状態を見ても驚きもせずいつもやってるかのような優しい手つきでAを撫でる姿を見ると、

彼らの世界はもう既に出来上がっていて、そこに入り込もうとしてる僕は完全なおじゃま虫なんじゃないかと思えてくる。

僕、やっぱり来ない方が良かったんじゃないかな。

ﾊﾆ「じゃあ僕はお茶出すからカオちゃんはAの事よろしくね、崇は少し手伝って〜」

馨「え、僕一人じゃ…」
　
ﾓﾘ「分かった」

慌てる僕を置いて、2人はすぐ部屋から出ていってしまった。