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のが、数分前の出来事であり、今は目の前の状況に絶望している最中であった。
モリ「……環」
環「ああ…はい。わかりました」
環「えー、ごほん。
ハニー先輩は虫歯が治るまで甘いものは禁止!」
環「なお、部全体での協力態勢として、
今年のバレンタインは全面的に自粛とする!」
ハニ「やっ!」
『えっ!』
そんな……私の甘い友チョコは……。
だってだって、さっきハルヒと約束したばかりなのに。
『嘘……でしょ……』
後ろでやだやだと暴れるみつにぃの声も遠く聞こえていた。
かくして無情にも埴之塚兄妹の地獄の日々は始まったのでした。
お菓子断ち1日目。
ハ「A、当日こっそり交換するのじゃダメなの?」
『それはダメだよ。だってみつにぃが禁止されてる間に私だけチョコ食べることなんか出来ないもん』
「「そんなこと言ってる割には空気クソ重なんだけど」」
だ、だって〜!それはそれとして友チョコ貰えないのは悲しいんだもん!と駄々を捏ねたくなったが廊下を歩いてるみつにぃを見て騒ぐのをやめる。
『だってあれみてよぉ、あのうさぎさん』
私の目の先には氷を当てて布で結んだ実の兄ともりにぃがいた。
そして目の前でもりにぃに鞄をひっくり返され大量のお菓子が出てくる。
『朝からずっとあんな感じなのに私1人だけ貰えるわけないじゃない!』
「「たしかに、こりゃキッツイわ」」
『だから……ごめんね、ハルヒ』
ハ「大丈夫だよ。Aのお兄さん思いなところが伝わってきたから」
わーん!やっぱりハルヒ優しいよぉ……。
私もなんとかみつにぃの力になりたいがこればっかりはどうしようもないよね。
帰ろっか、と3人を連れてそのまま教室へと帰った。
夜。
『チカちゃん、私パティシエになる!』
はぁ?と急な宣言にびっくりしたチカちゃんに私は詰め寄る。
『今ね、みつにぃが大変な思いしてるの。
だからね、お菓子断ちが終わったら沢山チョコ食べれるように私たちで愛情たっぷりのチョコを作ってあげたいな!って思って……』
チカ「Aのお願いだし聞きたいのは山々なんだけど、光邦のためなら嫌だよ」
『そこをなんとか〜、ね?』
うぅ、もう。今回だけだからね、と嫌々ながらも姉の頼みなら引き受けてくれる我が弟が可愛くて仕方ない。
『まずは、これにこれを混ぜて――』
その日はそのまま2人で秘密の作戦会議となった。
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作者名:Lion | 作成日時:2024年2月23日 0時