検索窓
今日:14 hit、昨日:13 hit、合計:27,168 hit

01 ページ2



ボールの音が秋田の寒い冬の朝に響き渡る


まだ微かに残る眠気と戦いながら
俺は体育館の扉に手をかけた、と同時に

背中を勢いよく叩かれた


「…ってぇ……」



小さな手

その細い五本の指の感触が背中づたいに伝わってくる


だがそれとは裏腹に、力はかなりあるようで
しっかりとした痛みが全体に染み渡った



『ははっ、相変わらず眠そうな顔してんね。

眠気覚ましに私と付き合っとこっか』


振り返ると

そこには目を細めて楽しそうに俺を見上げる女子が1人、

少しばかり茶色がかった彼女の髪の毛が朝日に反射し、その光が目を覆う

俺は眩しさで眉間に皺を寄せた
 


「先輩こそ相変わらず馬鹿力っすね…俺守ってあげたくなるような子がタイプなんで先輩は対象外っす」
 

『へえ、これ河田直伝の愛の鞭なんやけどな』


そんな的はずれな事を言いながら

手だけじゃなくて体の全体を使うんよ、と
素振りの様子を見せつけてくる
 


『まぁ沢北は河田のことタイプやないって…眼中にないらしいって本人に伝えとくよ』


「ちょ、それは飛躍し過ぎでしょって…」


制止する俺の脇をするりと抜けた彼女は、

一足先に体育館の中へ入って行く
 


そして何もない空中にリングがあると見立て、レイアップシュートをしてみせた

お手本の様な綺麗なステップ、靭やかに伸びる軟らかい手先

多分、決まったであろうシュート



『私の勝ちやんね』


振り向いた彼女はヘラヘラと笑いながらこちら側にVサインを突き出してくる


「いや、それは違うでしょうよ」


こうやっていつもの様に彼女のペースに乗せられる自分

分かっていながらもついつい反応してしまう




「エースがそう簡単に抜かれると頼りないピョン」

「…ふ、深津さん…」


一部始終を見ていたであろう彼はそう言って、大袈裟に溜め息をついてみせた

02→←設定(時間軸など)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
84人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

葉ノ子(プロフ) - 那実さん» 私も大好物です。まだまだ過去編は掘り下げて行きますのでよろしくお願いします! (2023年3月3日 23時) (レス) id: cc75193184 (このIDを非表示/違反報告)
那実 - こういう過去に何かを抱えてる系の話ってやっぱり好きだわ… (2023年3月2日 0時) (レス) @page16 id: 36bff0e057 (このIDを非表示/違反報告)
葉ノ子(プロフ) - mimiさん» 私も同じ沢北推しに出会えて嬉しいです!ありがとうございます。 (2023年3月1日 19時) (レス) @page14 id: cc75193184 (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 沢北推しなのでこの作品を見つけられて嬉しいです!更新頑張って下さい! (2023年3月1日 17時) (レス) @page5 id: efe32caa82 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葉ノ子 | 作成日時:2023年3月1日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。