白黒彼氏 (ページ43)

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｢いや、まあ確かにそれは廉の自由やけどさ………」

ますます珍しく、もごもごと受け答えをする紫耀。

そんな紫耀に追い打ちをかけるように、さらに問いかけてみることにした。

｢そんなにAのこと庇うってことは…………
紫耀、もしかしてAのこと好きなん？｣

｢…………えっ？」

好き。

俺がそのワードを出した瞬間、紫耀の眉が明らかにぴくりと動いた。

それと同時に、不思議そうに傾げられる首。

｢…………好き？俺が、Aのこと？」

まるで好きという気持ちを知らないかのように、不思議そうに小さくそう呟く紫耀。

この様子だと、まだこいつは自分の気持ちに気づいてない。

あ～あ、ほんと鈍感やな。

俺より2つも年上のくせに(笑)

｢まあ、頑張ってや」

何を頑張ればいいのかいまいちわかっていないらしい紫耀にそう言い残し、俺はその場を離れた。

紫耀とAって仲良いし、紫耀が自分の気持ちに気づけば案外さっさと付き合うんちゃう？

そんなことを考えながら歩き続ける。

この時の俺は、自分の胸の奥底で渦巻くモヤモヤとした黒い感情に気づかなかった。

ほんとに鈍感なのは、俺の方だったのに。