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_____カナエが死んだ
目の前で足がすくみ、動けずにいた私を庇って目の前で血を流すカナエ
『っはぁ…はぁっ……はぁ』
10年前の光景が頭を駆け巡った
息がうまく吸えない
目眩と吐き気が同時に襲いかかってくる
カナエを抱き上げ泣き叫ぶしのぶ
「‥っ何で!‥‥A姉さんなら、姉さんのこと助けられたっ
藤の花の毒使えるんでしょう?
どうしてよっ
父親の時もその力で自分だけ助かったくせにっ…!」
泣きながら私を睨むその目に何も言い返せず逃げるように蝶屋敷を出てきた。
隊士達は戦う事のできない私のような人間を鬼から守る為に命をかけている
それを助ける立場である医者が彼らの命を奪った
私はその鬼の家族であり、現場を目の前で目撃した
何もできず、自分だけ生き残ってしまった
私なんかよりもっと生きるべき人は沢山いた
鬼と戦う事が出来ない自分が生きている意味がわからない
しかし実弥のことが気になっている自分がいた
彼の行動、口調の裏に隠れた優しさに触れるたびに胸が苦しくなった。
告白されて本当は嬉しかったんだ
ダメだと言う自分とは矛盾した感情
でも私はどうしても多くの犠牲の上に幸せになろうと思えない
ごめんね
傷つけて
嘘ついて
それなのにどうして貴方はつらい時そばにいてくれるの?
「‥‥A」
『‥‥‥‥‥‥実弥どうして』
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作者名:ヤ弥子 | 作成日時:2021年1月10日 15時