彼女が耳をふさぐ意味【烏野】

ふさぐ意味８ ページ8

次の日、朝錬にAは来なかった。




菅原「A大丈夫かな。」




清水「心配だね。」




部員達は心配していた。




そして放課後




澤村「練習始めるぞ！全員居るか？」




谷地「あの、A先輩がいません！」





まだAは来ていなかった。




清水「大丈夫かな。」




谷地「病気とかじゃないですよね。」




そんな話をしていると、扉が開いた。




田中「武ちゃん、監督！今日は早いっすね。」




武田「今日の部活は、お休みです。」




一同「え？」




鳥養「お前らの大事なマネージャーの事だ。」




監督の一言で、Aの事だと全員が悟った。




武田先生と烏養監督が体育館に入ると、保健医の波先先生が顔を出した。




澤村「波先先生。どうされたんですか？」




波先「Aちゃんの事でね。お話があるの。」




一同「え？」




波先先生の後ろには、隠れるようにしてAが立っていた。




波先「Aちゃん。皆に話せる？」




先生がそう聞くと、Aは静かに前に出て、うつむいたまま話し始めた。




貴方「今まで、私がずっとヘッドホンを付けていた理由を話します。」




理由がある事に部員は驚いた。




貴方「私も今日初めて知りました。私は聴覚過敏症という障がいを持っています。」




障がい。誰もが聞いた事のある言葉だ。




貴方「簡単に説明すると、私は普通の人が聞いている音の倍の音が聞こえます。」




日向「えっと」




貴方「たとえば蛍光灯の音。騒がしい所にとても弱いです。」




波先「そこまで酷くはないんだけど、昨日みたいに倒れちゃうこともあるみたい。」




貴方「雑音と、話相手の声が一気に入ってきて話が聞けなかったりします。沢山の音が入ってきてしまって、ヘッドホンがないと辛かったんです。」




その言葉に部員は沢山の事を思い出した。




菅原「外でいきなりヘッドホンを取ったら耳押さえて蹲ってた。」




清水「苦しすぎてつい菅原を突き飛ばしたんだ！」




月島「何度も聞き返されることもありました。」




山口「呼んでも答えてくれない事も！」




一同「心当たりは沢山ある！！」




今までの疑問が全て解決した。




彼女をこうさせていたのはすべて聴覚過敏症のせいだったのだ。




波先「Aちゃんを理解できたし、これからは彼女の事も考えてあげてね。」




部員たちの顔は晴れやかだった。

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