彼女が耳をふさぐ意味【烏野】

ふさぐ意味１１ ページ11

烏野高校男子バレー部マネージャーの神平Aの事が分かってから、数日がたったある日。




澤村「集合！！」




一同「ウース。」




部員全員が監督の前に集まった。




烏養「1週間後の合宿の詳細について説明する。」




鳥養さんのその言葉に部員がざわめく。うるさい。




バレー部に障がいの事を話してから、Aはヘッドホンをしなくなった。




ゆえに、困る事が増えた。




たとえば、影山と日向の言い争い。




体育館中に響く二人の大きな声。




つらい。




清水「ちょっと二人とも。よく考えて。」




そう言うと皆Aの方を見た。




貴方「あの、大丈夫ですよ！」




谷地「先輩。無理はよくないです。つらそうでしたよ？」




貴方「全然大丈夫だよ！気にしないで！」




Aは嘘をついた。




楽しそうな雰囲気がなくなるのが嫌だったんだろう。




それでも、バレー部員のことは騙せない。




清水「無理する事ないよ。皆迷惑だとか思ってないから。ね？」




菅原「そうだぞ！我慢しすぎるとまた倒れちゃうだろ！」




皆、優しい。こんなに気を使ってくれるなんて…




でも、




貴方「ありがとうございます。でも、私だって我慢しなくちゃいけない時とかあります。」




縁下「でも、つらいならちゃんと言わなくちゃいけないだろう？」




貴方「でも、私にばっかり気を使ってたら楽しくない。我慢する時はしなくちゃいけない。」




そう。周りに気を使わせてばっかりいたら楽しくない。




少しくらいつらくても、我慢しなくちゃいけない時がある。




皆は少し優しすぎる。




貴方「私だって、皆と一緒に笑っていたいです。」




澤村｢そっか。でも、無理しすぎるのはよくないからな。」




貴方「はい。皆も、いつも通りで大丈夫です。」




また一つ、仲が深まった。




こうやって、ちょっとずつでも良いから理解してくれると嬉しい。

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