5月・伍【豊久】 ページ6
豊久視点
サッカー部の朝練を終えるともう来ている筈の同級生を迎えに行く。
(今日は女子達が遅いからな!邪魔は入らない…!)
正面玄関へ向かうと、丁度 兄である吉継先輩に降ろされて教室に向かうところだったAを見つける。
「Aー!吉継先輩!おはよう!」
「島津か、今日は女子達が遅い流れか」
『おはよう、豊久くん!また頬に泥んこついてるよ?』
挨拶をすると先輩も返してくれるし、Aも俺についた汚れを拭ってくれる。
「(Aと距離が近い…許すまじ)では、俺は教室にいく。島津…任せたぞ」
『行ってらっしゃい!』
「ギグッは、はーい!(なんか寒気した…)」
吉継先輩に謎の圧を掛けられた後、Aを片腕で抱っこして教室に向かう。
学園内ではもう当たり前の事で、皆に何も言われないし…逆に抱っこしてないと怒られる。
『豊久くん、次の試合って来週だよね?頑張ってね!』
「あぁ!父上も叔父上も見に来てくれるんだ。必ず勝ってくるからな!」
教室に行くまでのちょっとしたAと2人になれる時間が俺は好きだ!でも……
『あ、教室についたから降ろしていいよ?ありがとう!』
「おう!(着いちゃった…)」
教室に入ったらアイツがいるから、2人でゆっくり話すこと出来ないんだよなぁ…
「A、と島津か。おはよう」
『おはよう、直政くん』
「おはよう!って、俺はついでか?」
槍術部の井伊直政、俺の好敵手!勿論、A関係でも学園の事でも!
「島津、そろそろ朝練終わりに顔を洗う習慣をつけたらどうだ?ガキと言われても仕方ないぞ」
「洗ってきたよ!それに、Aにも拭いてもらったからもうついて…」
『あ、まだ着いてる』
いっつも直政は俺の事弄ってくるんだよなぁ…でも、Aにはよく笑いかけるしAの事になったら俺にも手は貸してくれる…けど
「俺の事ガキ、ガキっていうけど…同い年だろ?それに、直政だって先輩とか先生からは新入りとしか呼ばれてないじゃないか!」
「俺はそれで一々ムキにならないがな」
素直に仲良くなるのは無理そう。
『あ、直政くんは朝練無かったの?』
「あぁ、今日は走り込みだけで…」
でも、直政の弱みは1つ握ってる。Aが誰かと話してる時に寂しそうにしてるし、Aと話してる時は耳が赤いこと!
あれって、弱みだよな?
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