検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:7,096 hit

六話 ページ7

仁王「……ブツブツ」




その場にしゃがみこみ何やら小さく呟いている




丸井「な、なんかやばくねえか」



真田「幸村」




幸村「…少し希望が持てたらって思ったんだけど、逆効果だったみたいだね」




グッと力一杯拳を握りしめた様子を見ると、本当に幸村くんなりの配慮だったのだろう





だが、それは仁王くんにとっては刃だった




それにいち早く気づいた柳くんと真田くんが、止めた




だけど、遅かった




私も、遅かった。気づくのが遅れた。あれだけ一緒に居たというのに





幸村くんの発言に、少し同調してしまっていた





私も同じことを思っていたのだ。Aさんが生きているのではないか、と





仁王「おれ…の……で…しんで」



柳生「しっかりしてください!仁王くん!」




仁王くんの肩に触れた




彼はゆっくりとこちらを見た。




見て、いるのだろうか





虚ろな目、私を見ているはずなのに違う誰かを見ている。そんな気がする





そんな疑問が、次の仁王くんの言葉で確信に変わった




仁王「A……」




柳生「……!」




A。確かにAと言った




仁王くんは、私ではなくAを見ている




恐らく、トラウマを思い出したせいで幻を見てしまっているのだろう





真田「仁王!シャキッとせんか!!」




真田くんの声でも反応がない




それを確認した真田くんは、ずんずんと仁王くんに近づくと、大きく右手を振り上げた




そのあとは、予測ができた





ピシャーンと乾いた音が響き、仁王くんの身体が壁に叩きつけられる




仁王「……?……?」






何が何だか分からないと言った様子で、叩かれた頬を抑える仁王くん






その瞳には、光が戻っていた





柳「俺が分かるか。仁王」




仁王「参謀じゃろ?それがどうしたんじゃ!それになんで殴られないけんナリ!!」




ぷりぷりとわかり易く怒りながら、仁王くんは立ち上がった




仁王「それで、放課後じゃったかのう」




幸村「…に、おう?」




仁王「なんじゃい、幸村。そんな変な顔して」




いつも通りの仁王くん。まるで先程のことが無かったように振る舞う。いや忘れてしまっているのか




柳「…冷やすものを持ってこよう」




だけど、何かがおかしい。




仁王「ありがとな」





そう思うのは私だけだろうか




幸村「……」

七話→←五話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
設定タグ:テニスの王子様 , 仁王雅治 , シリアス   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:けさし☆ | 作成日時:2021年4月2日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。