師匠トノ再会 ページ16
数年ぶりに通る道、街。久しぶりだなぁ…前世だと良く数年通らないだけで景色が変わったりするけど、この時代だとそうそう変わらない。あ〜懐かしい〜って感じになる。ずっと足を動かし歩き続けていると、やっと目的地のある山に着いた。師匠…驚くかな?
ワクワクする気持ちを抑えきれず、深く深呼吸をしてから師匠の暮らしている小屋のドアを叩く。すると、目の前のドアがガラガラと音を立てて開いた。目の前には、相変わらず私より背の高い…少し老けた師匠の姿。私は嬉しさを隠すことなく満面の笑みを浮かべた。
「お久しぶりです、師匠。A、久しぶりに帰ってきました」
最終選別の時に貰った髪紐を揺らしながら頭を軽く下げる。師匠の、いつも冷静な気配が乱れた。ゆらゆらと不安げに揺れ、一気に喜びと嬉しさの気配で満たされた。あぁ、喜んでくれてる。私もまた会えてとても嬉しい。
師匠から頭を上げるように言われ顔を上げた。目の前には、優しい笑みを浮かべた師匠の姿。グッと唇を噛み締め泣きそうになるのをこらえる。
「よく帰ってきた…A。8年もの間…よく生き延びた。A…お前は私の誇りだよ」
「…ッ」
ブワッと、胸の内に喜びが溢れた。大好きな師匠が褒めてくれている、私が帰ってきたことを喜んでくれている。耐えていた涙が瞳を覆い、視界がぼやけた。息を詰まらせながら必死に言葉を紡いだ。
「ッ…ずるいですよ、師匠…ッ!」
「なんの連絡もなく帰ってきたAに比べれば優しいものだろう。…よく戻ってきた、可愛い孫よ」
目を抑えながら俯いていると、頭に師匠の手が乗った。優しく撫でられさらに涙があふれる。待って師匠、本当に待って。涙止まらなくなるから待って!!
私は師匠の方へと手を伸ばし、その背に腕を回した。ぎゅぅと強く抱き締めお腹に顔を埋める。涙でびしょびしょになってしまえ。師匠は嫌がることなく、私の頭を撫でたままもう片方の手を私の背に回した。
「…長い間、帰ることが出来ずすみませんでした」
「…私の元から離れた後、色々あったようだからな。仕方がない。遅くなったとはいえ、戻ってきてくれたことに違いはないだろう」
「…ッはい!」
あぁ、久しぶりの師匠だ。8年前に比べて、少し細くなっただろうか。表情もあの時に比べて柔らかくなった。でも、変わらない。
師匠から感じる気配は、今も昔も全然変わらない。
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なぎ(プロフ) - 更新楽しみに待ってます…‼ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: c7ded9271f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新待ってます…応援しています!頑張ってください!! (2022年5月25日 23時) (レス) @page42 id: ef64ea2517 (このIDを非表示/違反報告)
しらこのり - 更新ずっと待ってます 再開して欲しい… (2022年1月15日 11時) (レス) id: 573692b408 (このIDを非表示/違反報告)
人類のようなナニカ - コメント失礼します。この作品本当に大好きで、読み進めるのが楽しくて楽しくて仕方がないです!応援しています!!!!更新頑張って下さい! (2022年1月7日 19時) (レス) @page42 id: 60efa73c00 (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - 投稿楽しみにしてます! (2021年12月31日 18時) (レス) id: 8c5f3cdf03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2019年8月20日 14時