皆に愛されし少女【鬼滅の刃】

霞柱時透無一郎 ページ8

原作第一話から一年が経過した。あれから特に問題はないし、言ってしまえば私が一人で仕事しても下弦も上弦も鬼舞辻本人が来ることも一切なく本当に平和だ。嵐の前の静けさ感あってやっぱり怖い。

…さて、皆さん。刀を持って二か月で柱になった子をご存知ですか？…ご存知ですよね？とかぼんやり考えていると、誰かが猛スピードで近付いてくる気配を感じた。


「A…！」

「無一郎君！」


タックルする勢いで私に抱き着いてきたのは霞柱となった時透無一郎君。なんかね、あの出来事以来…にプラスしてお菓子効果かな？凄い懐かれました嬉しい…。笑顔はないけど…義勇みたいな感じ？義勇より分かりにくいかな…

こう、嬉しいときに少しだけ表情が緩くなるの。…そこ、そんなことに気付くとか気持ち悪いなんて言わない。泣くよ。


「A…今日お菓子ある？」

「うん！今日はキャラメルである〜！」


この時代だとキャラメル凄く高いんだよね。キャラメル一粒が大福一つと同じ値段よ？まぁ私は！お仕事でもらったお金全てをお菓子につぎ込んでるから平気なんだけどね！！

お菓子食べて喜んでる推しの姿すっごく可愛いでしょ？ね？


「じゃ、手だして」

「…？なんで？」


無一郎君は不思議そうに首を傾げている。あっ可愛い！…で、お菓子を貢ぐ時点では何の問題もないけど、無一郎君が関わると問題が出てくる。

…察した人いるかな？それは…


「ほら、いつもみたいに食べさせてよ」

「…うーん」


出会った当初、金平糖を食べさせてあげたあれを凄く気に入ったようなのだ。お菓子あげると毎回あーんって口開けられるから凄い困る。

とりあえず！他の人がいる前でそれはやめてくれ！！


「…無一郎君、自分で食べよっか」


はい、と紙に包まれたキャラメルを手渡そうとすると少し拗ねたような表情をした。…あまり表情うごいてないけど。


「…Aが食べさせてくれた方が美味しい」

「ほらもうそう言うこと言う！！」


好きなだけ食べさせてあげるよもう！と言いながら紙を外して無一郎君の口元にキャラメルを持っていく。無一郎君は満足そうな空気を出しながら口を開けた。

いつものように舌に乗せると、もぐもぐと噛み始めた。そして少し表情が明るくなる。


「美味しい？」

「…うん」


どうやらキャラメルも気に入ったらしい。よかったよかった。…今日蝶屋敷の皆にもあげよう。

私はキャラメルを一つ口に放り、その甘さに頬を緩めた。

鱗滝左近次→←嘘デハナイ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す